嚥下造影検査時の誤嚥物除去に対するチームアプローチ確立と経過

嚥下機能評価のための嚥下造影検査時には誤嚥を認めることがあり,誤嚥物除去も必要な対応となっている。当院の検査時誤嚥対応の確立と運用経過を報告する。 対象は2009年10月1日から2011年3月31日までに嚥下造影検査を実施した患者19名の内,硫酸バリウム液・造影剤加模擬食品を誤嚥した6名 (平均年齢78.3±3.0歳,男性4名,女性2名)。嚥下造影検査時誤嚥の初期対応として医師・看護師・言語聴覚士で,咳嗽,強制呼出手技,吸引および体位ドレナージを行なった。この後必要に応じ理学療法士が肺理学療法を行なった。誤嚥物喀出不可の場合,臨床工学技士の協力で陽・陰圧体外式人工呼吸器使用を検討した。誤嚥直後...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 62; no. 1; pp. 41 - 49
Main Authors 鈴木, 貴士, 筆谷, 拓, 渡部, 啓孝, 平尾, 重樹, 中西, 恭子, 松岡, 真由, 安江, 充, 齊藤, 美奈子, 伊藤, 友季子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2013
日本農村医学会
Subjects
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.62.41

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Summary:嚥下機能評価のための嚥下造影検査時には誤嚥を認めることがあり,誤嚥物除去も必要な対応となっている。当院の検査時誤嚥対応の確立と運用経過を報告する。 対象は2009年10月1日から2011年3月31日までに嚥下造影検査を実施した患者19名の内,硫酸バリウム液・造影剤加模擬食品を誤嚥した6名 (平均年齢78.3±3.0歳,男性4名,女性2名)。嚥下造影検査時誤嚥の初期対応として医師・看護師・言語聴覚士で,咳嗽,強制呼出手技,吸引および体位ドレナージを行なった。この後必要に応じ理学療法士が肺理学療法を行なった。誤嚥物喀出不可の場合,臨床工学技士の協力で陽・陰圧体外式人工呼吸器使用を検討した。誤嚥直後の胸部X線写真所見,誤嚥物喀出の有無,検査後一週間の発熱と炎症反応上昇の有無,呼吸器・消化器症状を評価し,誤嚥の影響を後方視的に調査した。 胸部X線写真に誤嚥物残留ありが3名,残留が3名だった。残留ありの3名にチームアプローチで介入し,2名(初期対応1名,理学療法士介入1名)で誤嚥物除去ができた。検査後1週間の発熱と炎症反応上昇は2名あったが検査時の誤嚥が直接原因になった可能性は低かった。呼吸器・消化器症状は全例で認められなかった。 本体制確立でシステム化した誤嚥対応が可能になった。多量の誤嚥があっても胸部X線写真上に反映されない場合もあるため対応考慮の必要があった。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.62.41