AlphaFoldによる蛋白質立体構造予測から機能予測へ

「1. はじめに」近年, 核酸や蛋白質などの生体分子に関するデータの急速な蓄積と深層学習モデルの発展があいまって, 第一原理計算とは対照的な, 既知情報に基づく経験的蛋白質立体構造予測手法の一つの極致とも言えるAlphaFoldが開発, 公開され, 関連分野に多大な影響を及ぼしている. 本稿では, AlphaFoldの登場に至るまでの背景と, AlphaFoldによる蛋白質立体構造/複合体構造予測の有効範囲や応用例などについて紹介する. 2節では, 現在の経験的蛋白質立体構造予測における, Multiple Sequence Alignment(MSA)の重要性と利用方法について, 類似蛋白質...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in生物物理 Vol. 64; no. 1; pp. 5 - 11
Main Author 富井, 健太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2024
日本生物物理学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.64.5

Cover

More Information
Summary:「1. はじめに」近年, 核酸や蛋白質などの生体分子に関するデータの急速な蓄積と深層学習モデルの発展があいまって, 第一原理計算とは対照的な, 既知情報に基づく経験的蛋白質立体構造予測手法の一つの極致とも言えるAlphaFoldが開発, 公開され, 関連分野に多大な影響を及ぼしている. 本稿では, AlphaFoldの登場に至るまでの背景と, AlphaFoldによる蛋白質立体構造/複合体構造予測の有効範囲や応用例などについて紹介する. 2節では, 現在の経験的蛋白質立体構造予測における, Multiple Sequence Alignment(MSA)の重要性と利用方法について, 類似蛋白質検索と残基間コンタクト予測の両面から解説する. 3節では, それらがAlphaFoldでいかに統合されて行くか, そのあらましを中心に紹介する. 4節では, AlphaFold登場の場となったCritical Assessment of protein Structure Prediction(CASP)での蛋白質立体構造予測の結果や複合体構造予測などへの展開について紹介する.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.64.5