術前診断が困難であった左傍十二指腸ヘルニアの1例

症例は6歳男児.胸腹部痛と発熱を主訴に当院小児科入院.入院時血液検査所見では,CRPおよびLDHの上昇を認めた.入院後に腹痛増悪を認めたため当科紹介となった.腹部CTでは壁肥厚を伴った小腸の左側偏位および結腸の固定不良が示唆された.急激な腹痛の進行から小腸軸捻転や内ヘルニアの可能性を考え緊急手術を行った.手術所見では,空腸の静脈鬱滞所見および13×16×65 mmのLandzert窩を認め左傍十二指腸ヘルニアと診断した.腸管血流は保たれておりヘルニア解除およびヘルニア門の閉鎖を行った.左傍十二指腸ヘルニアはTreitz靭帯周囲の腹膜窩に腸管が嵌入して生じる内ヘルニアであり,診断に有用なCT所見...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 58; no. 7; pp. 978 - 983
Main Authors 松浦, 俊治, 春野, 覚史, 川久保, 尚徳, 福田, 篤久, 小幡, 聡, 永田, 公二, 田尻, 達郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.12.2022
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.58.7_978

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Summary:症例は6歳男児.胸腹部痛と発熱を主訴に当院小児科入院.入院時血液検査所見では,CRPおよびLDHの上昇を認めた.入院後に腹痛増悪を認めたため当科紹介となった.腹部CTでは壁肥厚を伴った小腸の左側偏位および結腸の固定不良が示唆された.急激な腹痛の進行から小腸軸捻転や内ヘルニアの可能性を考え緊急手術を行った.手術所見では,空腸の静脈鬱滞所見および13×16×65 mmのLandzert窩を認め左傍十二指腸ヘルニアと診断した.腸管血流は保たれておりヘルニア解除およびヘルニア門の閉鎖を行った.左傍十二指腸ヘルニアはTreitz靭帯周囲の腹膜窩に腸管が嵌入して生じる内ヘルニアであり,診断に有用なCT所見としてのsac-like appearanceを術後の再評価で認めた.今回,我々は術前診断困難であった左傍十二指腸ヘルニアの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.58.7_978