犬猫のてんかん

「1. はじめに」てんかん, あるいはてんかん発作は脳のあるほぼすべての生物で起こりうる脳の生理学的機能障害である. もちろん野生動物でもその発生の報告はあるが, おそらくは生存が難しいのか (補食されるためか, 淘汰されるのか), 発生頻度は不明であり, 非常にまれなものと想像できる. 一方, 獣医療の対象となるペットとして飼育されている犬や猫において, てんかんは最も遭遇頻度の高い脳疾患である. てんかんの発生率は, 犬で全体の約0.6~1.0%, 猫で0.04~0.5%と推定され, 特に犬の特定犬種では2~5%を超える場合もある. この総説では獣医小動物臨床における犬と猫のてんかんについ...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 18; no. 4; pp. 354 - 359
Main Author 長谷川, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 25.12.2022
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.18.354

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Summary:「1. はじめに」てんかん, あるいはてんかん発作は脳のあるほぼすべての生物で起こりうる脳の生理学的機能障害である. もちろん野生動物でもその発生の報告はあるが, おそらくは生存が難しいのか (補食されるためか, 淘汰されるのか), 発生頻度は不明であり, 非常にまれなものと想像できる. 一方, 獣医療の対象となるペットとして飼育されている犬や猫において, てんかんは最も遭遇頻度の高い脳疾患である. てんかんの発生率は, 犬で全体の約0.6~1.0%, 猫で0.04~0.5%と推定され, 特に犬の特定犬種では2~5%を超える場合もある. この総説では獣医小動物臨床における犬と猫のてんかんについて, 特に人のてんかんとの違いを意識しながら概説する. 「2. 犬猫のてんかん分類」獣医学においてもてんかんの定義は人のそれと同じであり, 最近の国際抗てんかん連盟 (ILAE) による提言に従って「24時間以上あけて少なくとも2回以上の非誘発性てんかん発作が生じる病態」と一般的に認識されている.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.18.354