右巨大有囊性横隔膜ヘルニアに対して自動縫合器を用いた根治術を施行した1乳児例

症例は6か月,男児.感冒を主訴に前医を受診し,胸部単純レントゲン写真で右横隔膜挙上を指摘された.CT検査にて右横隔膜ヘルニアの診断となり,胸腔鏡下右横隔膜ヘルニア根治術を行った.術中所見から右横隔膜ヘルニアは有囊性であり,ヘルニア囊が非常に大きく視野の妨げとなったが,容易に牽引できた.ヘルニア囊から腹腔側の肝臓表面の動きが確認可能であったため,腹腔側臓器の巻き込みがないと判断し自動縫合器でヘルニア囊を切除した.このヘルニア囊の切離により良好な視野を得ることができた.さらに縫合予定部が直線化し,ヘルニア門の辺縁が近接したため,鏡視下に横隔膜縫縮が行えた.自動縫合器でヘルニア囊の切除する手法は限定...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 59; no. 4; pp. 784 - 788
Main Authors 神保, 教広, 西塔, 翔吾, 佐々木, 理人, 千葉, 史子, 相吉, 翼, 小野, 健太郎, 瓜田, 泰久, 増本, 幸二, 新開, 統子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.06.2023
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.59.4_784

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Summary:症例は6か月,男児.感冒を主訴に前医を受診し,胸部単純レントゲン写真で右横隔膜挙上を指摘された.CT検査にて右横隔膜ヘルニアの診断となり,胸腔鏡下右横隔膜ヘルニア根治術を行った.術中所見から右横隔膜ヘルニアは有囊性であり,ヘルニア囊が非常に大きく視野の妨げとなったが,容易に牽引できた.ヘルニア囊から腹腔側の肝臓表面の動きが確認可能であったため,腹腔側臓器の巻き込みがないと判断し自動縫合器でヘルニア囊を切除した.このヘルニア囊の切離により良好な視野を得ることができた.さらに縫合予定部が直線化し,ヘルニア門の辺縁が近接したため,鏡視下に横隔膜縫縮が行えた.自動縫合器でヘルニア囊の切除する手法は限定的な条件ではあるが,狭小なワーキングスペースで手術を行う上で有用な選択肢となり得ると考えられた.今後は中長期的合併症や適応に関して検討していく必要がある.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.59.4_784