中枢神経疾患における髄液中測定物質
中枢神経疾患の診断・重症度・予後を判断するためには, 血中の検査より髄液中での種々の物質の測定が臨床的に有用である. 順天堂大学医学部附属浦安病院小児科で, 独自に注目し, 髄液中で測定してきた1) 神経特異性エノラーゼ (NSE), 2) 2', 5'-オリゴアデニル酸合成酵素 (2-5AS) 活性, 3) ネオプテリン, 4) matrix metalloproteinase 9 (MMP-9) について検討した.その結果, 1) NSEは, 新生児重症脳障害および小児の細菌性髄膜炎で著明な高値を呈し, 神経予後の悪い場合は高値が持続し, その高値はニューロンの障害を示...
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Published in | 順天堂医学 Vol. 55; no. 2; pp. 117 - 122 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
順天堂医学会
2009
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Subjects | |
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ISSN | 0022-6769 2188-2134 |
DOI | 10.14789/pjmj.55.117 |
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Summary: | 中枢神経疾患の診断・重症度・予後を判断するためには, 血中の検査より髄液中での種々の物質の測定が臨床的に有用である. 順天堂大学医学部附属浦安病院小児科で, 独自に注目し, 髄液中で測定してきた1) 神経特異性エノラーゼ (NSE), 2) 2', 5'-オリゴアデニル酸合成酵素 (2-5AS) 活性, 3) ネオプテリン, 4) matrix metalloproteinase 9 (MMP-9) について検討した.その結果, 1) NSEは, 新生児重症脳障害および小児の細菌性髄膜炎で著明な高値を呈し, 神経予後の悪い場合は高値が持続し, その高値はニューロンの障害を示唆した. 2) 2-5AS活性は中枢神経ウイルス感染 (無菌性髄膜炎) で明らかな高値を呈し, その診断や感染の遷延の判断に有用であった. 3) ネオプテリンは細菌性・無菌性髄膜炎, 脳炎で有意に高値を呈し, 中枢神経の炎症性疾患の評価に有用と考えられた. 4) MMP-9は種々の中枢神経疾患のうち, 細菌性髄膜炎に特異的に異常高値を呈し, 他の炎症性疾患では低値であり, 細菌性髄膜炎の診断が困難な場合の判断や, 病勢のマーカーになりえると考えられた. また, MMP-9の過剰産生は血液脳関門の破綻を引き起こす一因と考えられた. |
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ISSN: | 0022-6769 2188-2134 |
DOI: | 10.14789/pjmj.55.117 |