ネフローゼ症候群再発時に深部静脈血栓症を併発した1例

「緒言」ネフローゼ症候群 (Nephrotic syndrome : NS) は様々な要因から過凝固な状態に傾くことが多く, 適切に予防することや早期発見早期治療を行うことが求められる. その原因として, 尿中への蛋白喪失による血管内脱水やフィブリノーゲンなどの凝固系因子の増加, アンチトロンビンIIIの低下, コレステロール高値などが挙げられる. また寛解導入療法はいまだにステロイドが中心であり, ステロイドによる凝固能亢進も影響する. 浮腫によって末梢ラインの確保が困難となり中心静脈カテーテルを使用することや透析を必要とする症例では緊急時ブラッドアクセス留置用カテーテルを挿入することもあり...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 17; no. 4; pp. 182 - 185
Main Authors 吉田, 圭志, 板橋, 寿和, 伊藤, 保彦, 柳原, 剛, 田辺, 雄次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 30.10.2021
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.17.182

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Summary:「緒言」ネフローゼ症候群 (Nephrotic syndrome : NS) は様々な要因から過凝固な状態に傾くことが多く, 適切に予防することや早期発見早期治療を行うことが求められる. その原因として, 尿中への蛋白喪失による血管内脱水やフィブリノーゲンなどの凝固系因子の増加, アンチトロンビンIIIの低下, コレステロール高値などが挙げられる. また寛解導入療法はいまだにステロイドが中心であり, ステロイドによる凝固能亢進も影響する. 浮腫によって末梢ラインの確保が困難となり中心静脈カテーテルを使用することや透析を必要とする症例では緊急時ブラッドアクセス留置用カテーテルを挿入することもあり, 異物挿入によって血栓傾向が惹起されることも考えられる. 今回われわれは, NS再発時に急性腎不全となり, 透析を行うために緊急時ブラッドアクセス留置用カテーテルを右内頸静脈より挿入したことで右内頸静脈に静脈血栓症 (Venous thromboembolism : VTE) を発症した症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.17.182