長期入院中のアルツハイマー型認知症患者に対する生活機能回復訓練の効果
目的: 認知症治療病棟では1日4時間・週5日の生活機能回復訓練が義務づけられており, 当院でもラジオ体操や嚥下体操, コラージュや革細工の作成などが行われている. 今回は, 長期入院中のアルツハイマー型認知症患者に対し, 同訓練が非薬物療法としてどのような効果をもたらしているかを検討した.対象と方法: 2009年4月から2010年3月に当院認知症治療病棟にBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia (BPSD) の治療目的で入院となったアルツハイマー型認知症患者のうち, 入院期間が90日を超えた12例を対象とした. それぞれの症例に対し,...
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Published in | 順天堂医学 Vol. 57; no. 1; pp. 52 - 58 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
順天堂医学会
2011
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0022-6769 2188-2134 |
DOI | 10.14789/pjmj.57.52 |
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Summary: | 目的: 認知症治療病棟では1日4時間・週5日の生活機能回復訓練が義務づけられており, 当院でもラジオ体操や嚥下体操, コラージュや革細工の作成などが行われている. 今回は, 長期入院中のアルツハイマー型認知症患者に対し, 同訓練が非薬物療法としてどのような効果をもたらしているかを検討した.対象と方法: 2009年4月から2010年3月に当院認知症治療病棟にBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia (BPSD) の治療目的で入院となったアルツハイマー型認知症患者のうち, 入院期間が90日を超えた12例を対象とした. それぞれの症例に対し, 入院時と90日後のActivity of Daily Living (ADL) ・認知機能・BPSDの程度・薬剤量を調査し, 比較検討を行った.結果: ADL・認知機能は入院時と90日後で有意差を認めなかった. BPSDは90日後に改善が認められ, 症状別では妄想・興奮・不安で有意差が認められた. 薬剤量では抗うつ剤に有意な増量が認められたが, 抗精神病薬・benzodiazepine系薬剤の量には有意差を認めなかった.結論: ADL・認知機能ともに, 90日後も入院時と同等の状態に保たれていることが示された. 抗うつ薬は増量されていたが, うつや無関心などのADL・認知機能にかかわるBPSDに変化はなく, また他の薬剤量に有意差を認めないことから, 生活機能回復訓練にADL・認知機能維持効果があったことがうかがわれた. |
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ISSN: | 0022-6769 2188-2134 |
DOI: | 10.14789/pjmj.57.52 |