Fads2ノックアウトマウスによるアラキドン酸とドコサヘキサエン酸の新機能の発見
「1. はじめに」哺乳類にとってアラキドン酸とドコサヘキサエン酸はアイコサノイドとドコサノイドを通じて重要な生理機能を担っているが, その機能の全要はまだ明らかにされていない. 図1に示すように, ヒトおよび実験動物はアラキドン酸とドコサヘキサエン酸をリノール酸とαリノレン酸から合成することができる1). この体内合成能力が食餌中の脂肪酸組成を変えることによるアラキドン酸とドコサヘキサエン酸欠乏症を研究する方法の限界となっていた. 例えばn-6脂肪酸を食餌から除くとアラキドン酸欠乏の起こる前にリノール酸欠乏による皮膚障害と成長障害が起こるため2), アラキドン酸欠乏症の解明は困難になる. 同様...
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Published in | 脂質栄養学 Vol. 22; no. 1; pp. 53 - 58 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脂質栄養学会
2013
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Subjects | |
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ISSN | 1343-4594 1883-2237 |
DOI | 10.4010/jln.22.53 |
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Summary: | 「1. はじめに」哺乳類にとってアラキドン酸とドコサヘキサエン酸はアイコサノイドとドコサノイドを通じて重要な生理機能を担っているが, その機能の全要はまだ明らかにされていない. 図1に示すように, ヒトおよび実験動物はアラキドン酸とドコサヘキサエン酸をリノール酸とαリノレン酸から合成することができる1). この体内合成能力が食餌中の脂肪酸組成を変えることによるアラキドン酸とドコサヘキサエン酸欠乏症を研究する方法の限界となっていた. 例えばn-6脂肪酸を食餌から除くとアラキドン酸欠乏の起こる前にリノール酸欠乏による皮膚障害と成長障害が起こるため2), アラキドン酸欠乏症の解明は困難になる. 同様にn-3脂肪酸を食餌から除くとドコサヘキサエン酸の減少に伴いn-6脂肪酸22:5 n-6が増加し3), ドコサヘキサエン酸の機能を一部分補うと見られる. この障害を克服するために当研究室はFads2遺伝子ノックアウトマウス(Fads2-/-)を作成した4). |
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ISSN: | 1343-4594 1883-2237 |
DOI: | 10.4010/jln.22.53 |