DICER1遺伝子変異を伴った肺囊胞性腫瘍および多房性囊胞性腎腫の1例

1歳3か月,男児,感冒にて近医受診した際に腹部腫瘤を指摘され,精査目的に当科紹介となった.エコーで左腎に多房性囊胞性腫瘤を認め,また胸部単純X線にて右気胸の疑いがあった.胸腹部MRIを施行したところ,右気胸と思われたのは肺囊胞性病変であり,また両側囊胞性腎腫瘍を認めた.それぞれ切除術を行う方針とし,まず右肺上葉切除術を先行した.病理組織学的所見はpleuropulmonary blastoma(PPB)I型が退縮した病変である可能性が最も考えられた.2か月後に左腎摘出術および右腎腫瘤核出術を施行し,病理組織はcystic nephromaの所見であった.遺伝子解析を施行したところ,DICER1...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 60; no. 1; pp. 50 - 56
Main Authors 渡辺, 栄一郎, 大木, 健太郎, 横川, 英之, 西, 明, 岡崎, 英人, 高澤, 慎也, 田中, 水緒, 篠原, 正樹, 平戸, 純子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.02.2024
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.60.1_50

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Summary:1歳3か月,男児,感冒にて近医受診した際に腹部腫瘤を指摘され,精査目的に当科紹介となった.エコーで左腎に多房性囊胞性腫瘤を認め,また胸部単純X線にて右気胸の疑いがあった.胸腹部MRIを施行したところ,右気胸と思われたのは肺囊胞性病変であり,また両側囊胞性腎腫瘍を認めた.それぞれ切除術を行う方針とし,まず右肺上葉切除術を先行した.病理組織学的所見はpleuropulmonary blastoma(PPB)I型が退縮した病変である可能性が最も考えられた.2か月後に左腎摘出術および右腎腫瘤核出術を施行し,病理組織はcystic nephromaの所見であった.遺伝子解析を施行したところ,DICER1症候群の診断となった.多臓器での腫瘍を認めた際はDICER1症候群の可能性も考える必要がある.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.60.1_50