中腸軸捻転後に温存した腸管機能障害のために栄養管理に苦慮した2新生児例

腸回転異常症に伴う中腸軸捻転(以下本症)の手術の際,小腸の大量切除を避け,虚血腸管の温存を試みることはしばしば経験する.今回我々は,本症手術で虚血腸管を温存したものの,温存腸管の機能障害のため術後栄養管理に苦慮した2例を経験した.【症例1】出生歴に異常のない男児.日齢3に本症手術を施行した.短腸症を回避するために壊死腸管のみを切除し,虚血小腸を温存して腸瘻を造設した.腸瘻閉鎖後も下痢症状が遷延し,残存腸管の吸収障害が疑われた.短腸症候群に準じた栄養管理が必要となった.【症例2】出生歴に異常のない男児.日齢1に本症手術を施行した.捻転解除後も小腸の広範囲に虚血変化が残存した.翌日再開腹したが虚血...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 58; no. 1; pp. 57 - 61
Main Authors 金, 聖和, 山道, 拓, 梅田, 聡, 高瀬, 洪生, 田山, 愛, 臼井, 規朗, 高山, 慶太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.02.2022
日本小児外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.58.1_57

Cover

More Information
Summary:腸回転異常症に伴う中腸軸捻転(以下本症)の手術の際,小腸の大量切除を避け,虚血腸管の温存を試みることはしばしば経験する.今回我々は,本症手術で虚血腸管を温存したものの,温存腸管の機能障害のため術後栄養管理に苦慮した2例を経験した.【症例1】出生歴に異常のない男児.日齢3に本症手術を施行した.短腸症を回避するために壊死腸管のみを切除し,虚血小腸を温存して腸瘻を造設した.腸瘻閉鎖後も下痢症状が遷延し,残存腸管の吸収障害が疑われた.短腸症候群に準じた栄養管理が必要となった.【症例2】出生歴に異常のない男児.日齢1に本症手術を施行した.捻転解除後も小腸の広範囲に虚血変化が残存した.翌日再開腹したが虚血の進行はなく,全小腸を温存した.術後,腸管粘膜バリア機能障害が疑われる腸炎を複数回起こし,経腸栄養増量に難渋した.【まとめ】いずれの症例も長期的には腸管機能は回復し,経静脈栄養を離脱することができた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.58.1_57