急性腹症における単純CTと超音波検査の画像対比

昨今,救急医療の現場において急性腹症の画像検査には単純X線CTを第一選択とされることが多い。超音波検査は術者の技量に左右されることや,所見が主観的であるなどという理由が急性腹症画像診断の第1選択から避けられる理由であると思われる。しかし単純CT検査に比べ腹部超音波検査の方が情報を多く得られた症例を度々経験する。今回は右下腹部痛にて単純CTが撮像され盲腸部周囲に一塊の膿瘍形成が疑われた症例に対し超音波検査を施行したところ膿瘍形成している原因に至るまでの詳細な情報が得られた2症例を報告する。今後,地域医療構想などの医療費削減政策が進み,X線CTなどの高額医療機器を配置する施設が減少する可能性もあり...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 72; no. 4; pp. 314 - 318
Main Authors 桐山, 香奈子, 前田, 晃男, 高木, 理光, 三輪, 正治, 小野江, 雅之, 今井, 信輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2023
日本農村医学会
Subjects
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.72.314

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Summary:昨今,救急医療の現場において急性腹症の画像検査には単純X線CTを第一選択とされることが多い。超音波検査は術者の技量に左右されることや,所見が主観的であるなどという理由が急性腹症画像診断の第1選択から避けられる理由であると思われる。しかし単純CT検査に比べ腹部超音波検査の方が情報を多く得られた症例を度々経験する。今回は右下腹部痛にて単純CTが撮像され盲腸部周囲に一塊の膿瘍形成が疑われた症例に対し超音波検査を施行したところ膿瘍形成している原因に至るまでの詳細な情報が得られた2症例を報告する。今後,地域医療構想などの医療費削減政策が進み,X線CTなどの高額医療機器を配置する施設が減少する可能性もあり,安価で機動性に優れる超音波検査の必要性が高くなる事が考えられる。単純CT検査に比べ超音波検査は多くの情報を含んでおり,急性腹症画像診断の第1選択は超音波検査であるべきと考える。そのため超音波検査に携わる者は,知識と走査技術の継続的な習得が重要であると考える。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.72.314