遺伝性疾患の児をもつ両親を支援する家族ケアに関する文献検討

遺伝性疾患の児に対する検査・治療は進歩しているが,遺伝性疾患の特徴には共有性があり他の家族員の遺伝情報に繋がる可能性があるため家族ケアが重要である.遺伝性疾患の児をもつ両親に対し,夫婦サブシステムに働きかける家族ケアの実際と調整における課題を明らかにするために文献検討を実施した.  医中誌Webを用い,キーワードは“遺伝性疾患”と“家族”とし,2005年以降の文献を検索した.医療者が両親に継続して働きかけを行っている事例を対象文献とし,グリーフケアの関わりは除外した.その結果,23文献26事例が対象となった.大半が2015年以前に発表され,本数も少ないことがわかった.鈴木・渡辺の家族看護アセス...

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Published in山口医学 Vol. 74; no. 2; pp. 77 - 93
Main Authors 村上 京子, 末廣 寛, 伊藤 浩史, 沓脱 小枝子, 伊東 美佐江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 30.05.2025
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.74.77

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Summary:遺伝性疾患の児に対する検査・治療は進歩しているが,遺伝性疾患の特徴には共有性があり他の家族員の遺伝情報に繋がる可能性があるため家族ケアが重要である.遺伝性疾患の児をもつ両親に対し,夫婦サブシステムに働きかける家族ケアの実際と調整における課題を明らかにするために文献検討を実施した.  医中誌Webを用い,キーワードは“遺伝性疾患”と“家族”とし,2005年以降の文献を検索した.医療者が両親に継続して働きかけを行っている事例を対象文献とし,グリーフケアの関わりは除外した.その結果,23文献26事例が対象となった.大半が2015年以前に発表され,本数も少ないことがわかった.鈴木・渡辺の家族看護アセスメント/支援モデルを分析の視点に用いてメタスタディを行ったところ,遺伝性疾患の児を持つ両親に対する家族ケアにおいて,調整を必要とする内容には【治療の意思決定支援】【わが子の受容・愛着形成の支援】【在宅育児への支援】【遺伝カウンセリングにおける家族ケア】が挙がった.  遺伝医療における家族ケアの視点より両親への支援について,疾患特性と個別性を考慮し,両親の遺伝性疾患に対する理解を促す,遺伝性疾患の児をもつ両親それぞれの思いの表出を促す,遺伝性疾患の児を含めた「家族の生活」を考える,多職種連携と継続的な関わりができる環境を整備することが重要であると示唆された.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.74.77