水産加工食品からのヒスタミン生成菌の汚染実態とヒスタミン産生能

「要約」水産加工食品100検体についてヒスタミン生成菌の汚染分布並びにヒスタミン生成菌の同定とその産生についての検討を行った. その結果, 水産加工食品から検出された生菌数は検出限界以下~108CFU/gの範囲で検出され, 103~105CFU/gのものが多く検出された. ヒスタミン生成菌数は102MPN/100g以下の低いものが多く認められ, 広範囲に食品が汚染されていると推察された. ヒスタミン生成菌は100検体中44検体 (44.0%) より検出され, 干物品50検体中24検体 (48.0%) , 漬物品50検体中20検体 (40.0%) から検出された. 検出されたヒスタミン生成菌はR...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 39; no. 2; pp. 63 - 69
Main Authors 田中, 浩樹, 河原井, 武人, 荻原, 博和, 平野, 光祐, 京井, 大輔, 田原, 慧大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 30.06.2022
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ISSN1340-8267
1882-5982
DOI10.5803/jsfm.39.63

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Summary:「要約」水産加工食品100検体についてヒスタミン生成菌の汚染分布並びにヒスタミン生成菌の同定とその産生についての検討を行った. その結果, 水産加工食品から検出された生菌数は検出限界以下~108CFU/gの範囲で検出され, 103~105CFU/gのものが多く検出された. ヒスタミン生成菌数は102MPN/100g以下の低いものが多く認められ, 広範囲に食品が汚染されていると推察された. ヒスタミン生成菌は100検体中44検体 (44.0%) より検出され, 干物品50検体中24検体 (48.0%) , 漬物品50検体中20検体 (40.0%) から検出された. 検出されたヒスタミン生成菌はRaoultella属が多く検出され, なかでもR. ornithinolyticaが163菌株中124菌株, M. morganiiが25菌株次いでE. aerogenesが6菌株検出された. Raoultella ornithinolytica/planticolaは, ヒスタミン生成菌として重要なM. morganiiと同等またはそれに匹敵するほどのヒスタミンを産生する能力を持つことが明らかとなった. 今後は腸内細菌科菌群のヒスタミン生成菌としてM. morganiiのみならず, R. ornithinolytica/planticolaも注意すべき菌種と考えられた.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.39.63