多彩な精神症状,自律神経障害を呈し,抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体陽性で,脳症と考えられた84歳女性例
症例は84歳女性.無言無動を繰り返し,発話時は体が溶けるとの奇異な妄想があり,体位変換に関連しない著明な血圧変動,尿閉・便秘を認めた.頭部MRI上,特異所見はなく,髄液蛋白は軽度高値,細胞数は正常だった.除外診断で,何らかの自己免疫性脳症を疑い,ステロイドパルス療法を施行し,精神症状・自律神経障害は改善した.後に抗自律神経節アセチルコリン受容体(ganglionic acetylcholine receptor; gAChR)抗体陽性が判明し,限定的ながら免疫療法が有効であったので,同抗体に関連する脳症の可能性も示唆された.同抗体陽性の脳症/脳炎の報告例は少なく,貴重な症例と考え報告した....
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Published in | 臨床神経学 Vol. 59; no. 10; pp. 631 - 635 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2019
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-001280 |
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Summary: | 症例は84歳女性.無言無動を繰り返し,発話時は体が溶けるとの奇異な妄想があり,体位変換に関連しない著明な血圧変動,尿閉・便秘を認めた.頭部MRI上,特異所見はなく,髄液蛋白は軽度高値,細胞数は正常だった.除外診断で,何らかの自己免疫性脳症を疑い,ステロイドパルス療法を施行し,精神症状・自律神経障害は改善した.後に抗自律神経節アセチルコリン受容体(ganglionic acetylcholine receptor; gAChR)抗体陽性が判明し,限定的ながら免疫療法が有効であったので,同抗体に関連する脳症の可能性も示唆された.同抗体陽性の脳症/脳炎の報告例は少なく,貴重な症例と考え報告した. |
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ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001280 |