脳梗塞急性期から経時的に錐体路の長大な早期ワーラー変性を観察した1例

症例は,75歳男性.真夏に自宅で倒れているところを発見され搬送入院となった.発熱,脱水所見,多発褥瘡と,右片麻痺,失語があり,頭部CTで左大脳基底核に急性期脳梗塞を認めた.入院4日目の頭部MRI拡散強調画像(diffusion-weighted imaging,以下DWIと略記)で,梗塞巣と同側の中脳大脳脚から橋底部まで連続性の高信号病変を認め,早期ワーラー変性と診断した.経時的な頭部MRIで,ワーラー変性は梗塞巣から延髄錐体交叉に至る錐体路の長大な病変となり,その後DWIで消退し,FLAIR画像で明瞭化した.拡散テンソル画像でも錐体路神経線維束の描出低下を確認できた.長大な早期ワーラー変性の...

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Published in臨床神経学 Vol. 61; no. 7; pp. 477 - 481
Main Authors 梅田, 麻衣子, 冨田, 大祐, 小宅, 睦郎, 荻根沢, 真也, 梅田, 能生, 藤田, 信也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2021
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001588

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Summary:症例は,75歳男性.真夏に自宅で倒れているところを発見され搬送入院となった.発熱,脱水所見,多発褥瘡と,右片麻痺,失語があり,頭部CTで左大脳基底核に急性期脳梗塞を認めた.入院4日目の頭部MRI拡散強調画像(diffusion-weighted imaging,以下DWIと略記)で,梗塞巣と同側の中脳大脳脚から橋底部まで連続性の高信号病変を認め,早期ワーラー変性と診断した.経時的な頭部MRIで,ワーラー変性は梗塞巣から延髄錐体交叉に至る錐体路の長大な病変となり,その後DWIで消退し,FLAIR画像で明瞭化した.拡散テンソル画像でも錐体路神経線維束の描出低下を確認できた.長大な早期ワーラー変性の発症には,脱水が寄与した可能性が考えられた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001588