行動療法研究への手紙 : 原井論文を読んで、行動療法について考える : 原井(2012)へのリプライ(編集委員会への手紙)

高橋ら(2012)(以下, 原論文)は, さまざまな種類の不安を訴えるクライエント(以下, Cl.)に対して, 窒息恐怖と嚥下失敗に焦点を当てて問題の解消を図った事例の経過報告である. 本事例では, 「息がつまるのではないか」というCl.の認知が症状の維持に関与していると判断し, 行動分析に基づく介入を行うことで, 窒息恐怖と嚥下失敗の解消に至った. また, 経過の報告において, "複合CS"や"阻止の随伴性"といった用語が使用された. これに対して, 原井(2012)から"行動療法研究に頻出する普段の日本語で書いてほしかった"との指...

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Bibliographic Details
Published in行動療法研究 Vol. 38; no. 3; pp. 259 - 260
Main Authors 高橋, 史, 熊野, 宏昭, 大塚, 明子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本認知・行動療法学会 30.09.2012
日本行動療法学会
Japanese Association for Behavioral and Cognitive Therapies( JABCT )
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ISSN0910-6529
2424-2594
DOI10.24468/jjbt.38.3_259

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Summary:高橋ら(2012)(以下, 原論文)は, さまざまな種類の不安を訴えるクライエント(以下, Cl.)に対して, 窒息恐怖と嚥下失敗に焦点を当てて問題の解消を図った事例の経過報告である. 本事例では, 「息がつまるのではないか」というCl.の認知が症状の維持に関与していると判断し, 行動分析に基づく介入を行うことで, 窒息恐怖と嚥下失敗の解消に至った. また, 経過の報告において, "複合CS"や"阻止の随伴性"といった用語が使用された. これに対して, 原井(2012)から"行動療法研究に頻出する普段の日本語で書いてほしかった"との指摘がなされた. 原井(2012)を読んだとき, 原論文へのコメントのために時間と紙面を割いていただいたことをとてもうれしく思うと同時に, 改めて気づかされたことがあった. 行動分析学の言葉には, 行動療法研究において日常の言葉ではないものがあるということだ. 事例理解において行動分析を重んじる行動療法の専門誌で, 行動分析学の言葉が日常用語ではない. これは一体, どういうことだろうか.
ISSN:0910-6529
2424-2594
DOI:10.24468/jjbt.38.3_259