頸部帯状疱疹罹患後に皮疹を認めた皮膚分節より広範囲な多発脳神経・髄節障害を呈した73歳男性例
症例は73歳男性.左頸部C3~4皮膚分節に帯状疱疹を発症し皮疹は痂皮化したが,その翌日から同側第V,VII,VIII脳神経障害と同側C4~Th1髄節支配筋の脱力が出現した.アシクロビルの静注,ステロイドパルス療法,プレドニゾロンの内服治療後に全症状は消失した.当症例では皮疹を認めた皮膚分節より広範囲な神経障害を認めた点が特徴的であった.その機序として,脳脊髄液を介した波及,同時多発的な無疹性帯状疱疹,上位頸髄神経と脳神経の神経交通枝を介した経神経的な炎症波及が想定された.帯状疱疹の神経障害の多様性は髄膜炎,無疹性帯状疱疹の証明の困難さ,神経交通枝の存在の個体差に起因している可能性がある....
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Published in | 臨床神経学 Vol. 62; no. 5; pp. 380 - 385 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2022
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Subjects | |
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ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-001699 |
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Summary: | 症例は73歳男性.左頸部C3~4皮膚分節に帯状疱疹を発症し皮疹は痂皮化したが,その翌日から同側第V,VII,VIII脳神経障害と同側C4~Th1髄節支配筋の脱力が出現した.アシクロビルの静注,ステロイドパルス療法,プレドニゾロンの内服治療後に全症状は消失した.当症例では皮疹を認めた皮膚分節より広範囲な神経障害を認めた点が特徴的であった.その機序として,脳脊髄液を介した波及,同時多発的な無疹性帯状疱疹,上位頸髄神経と脳神経の神経交通枝を介した経神経的な炎症波及が想定された.帯状疱疹の神経障害の多様性は髄膜炎,無疹性帯状疱疹の証明の困難さ,神経交通枝の存在の個体差に起因している可能性がある. |
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ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001699 |