右前大脳動脈領域梗塞により交叉性失語を呈した1例

症例は68歳,右利き女性で,利き手の矯正歴,左利きの家族歴はない.高血圧性緊急症で入院中に意識障害,下肢に強い左片麻痺,発話障害,左半側空間無視を認め,MRIにて右前大脳動脈領域に急性期梗塞を示唆する所見を認めた.亜急性期の言語症状として開始困難,速度低下,抑揚の消失,音韻性錯語を主徴とする発話障害を認め,理解,復唱,読字,書字でも障害が見られ,「変則型」交叉性失語と考えた.両上肢の失行,構成障害,左半側空間無視は見られなかった.右前大脳動脈領域梗塞による交叉性失語の報告は少ないが,失語症状,合併症状は症例により異なり,半球側性化の個人差を反映していると考えられた....

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Published in臨床神経学 Vol. 63; no. 7; pp. 450 - 455
Main Authors 石原, 健司, 加倉井, 美沙, 旭, 俊臣, 遠藤, 佳子, 小林, 一彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2023
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001763

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Summary:症例は68歳,右利き女性で,利き手の矯正歴,左利きの家族歴はない.高血圧性緊急症で入院中に意識障害,下肢に強い左片麻痺,発話障害,左半側空間無視を認め,MRIにて右前大脳動脈領域に急性期梗塞を示唆する所見を認めた.亜急性期の言語症状として開始困難,速度低下,抑揚の消失,音韻性錯語を主徴とする発話障害を認め,理解,復唱,読字,書字でも障害が見られ,「変則型」交叉性失語と考えた.両上肢の失行,構成障害,左半側空間無視は見られなかった.右前大脳動脈領域梗塞による交叉性失語の報告は少ないが,失語症状,合併症状は症例により異なり,半球側性化の個人差を反映していると考えられた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001763