口蓋振戦と致死性の両側声帯外転麻痺をきたした両側小脳歯状核梗塞の1剖検例
74歳男性剖検例.小脳・脳幹の多発梗塞の発症14ヶ月後に口蓋振戦と両側声帯外転麻痺を来し,II型呼吸不全で死亡した.病理学的には右優位の両側小脳皮質から歯状核を含む広範な陳旧性梗塞,左赤核・右中心被蓋路・右下小脳脚のワーラー変性と両側下オリーブ核の仮性肥大を認めた.口蓋振戦の責任病変はギラン・モラレ三角の一部である両側歯状核と右上小脳脚に認めた.一方,声帯外転麻痺に関連する疑核や後輪状披裂筋に器質的異常を認めなかった.ギラン・モラレ三角の一部である中心被蓋路から声帯外転機能に関連する疑核由来の迷走神経への連絡路を介して口蓋振戦を惹起した機能障害が声帯へ波及し,外転麻痺を来した可能性が考えられた...
Saved in:
Published in | 臨床神経学 Vol. 63; no. 9; pp. 572 - 576 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2023
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.cn-001859 |
Cover
Summary: | 74歳男性剖検例.小脳・脳幹の多発梗塞の発症14ヶ月後に口蓋振戦と両側声帯外転麻痺を来し,II型呼吸不全で死亡した.病理学的には右優位の両側小脳皮質から歯状核を含む広範な陳旧性梗塞,左赤核・右中心被蓋路・右下小脳脚のワーラー変性と両側下オリーブ核の仮性肥大を認めた.口蓋振戦の責任病変はギラン・モラレ三角の一部である両側歯状核と右上小脳脚に認めた.一方,声帯外転麻痺に関連する疑核や後輪状披裂筋に器質的異常を認めなかった.ギラン・モラレ三角の一部である中心被蓋路から声帯外転機能に関連する疑核由来の迷走神経への連絡路を介して口蓋振戦を惹起した機能障害が声帯へ波及し,外転麻痺を来した可能性が考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.cn-001859 |