無機水銀投与ラット肝臓における尿素サイクル構成酵素群の変動

水銀化合物の毒性発現のひとつとして, 生体内で恒常性の維持を担う酵素系の活性低下が示唆されている1,2). 我々は塩化第二水銀(HgCl_2 )をラットに投与すると, 本金属の標的臓器である腎臓において, アルギニン代謝のキーエンザイムで腎臓型のアルギナーゼII(ARII)活性が著しく低下することを明らかにした3). アルギナーゼ(AR)にはARIIの他に肝臓型のアルギナーゼI(ARI)が存在する. ARIは, 肝臓における尿素サイクルの構成酵素であり, カルバミルリン酸合成酵素I(CPSI), オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC), アルギニノコハク酸合成酵素(AS)およびアルギニノコ...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 44; no. 1; pp. 15 - 16
Main Authors 熊谷, 嘉人, 下條, 信弘, 菊島, 真, 遠藤, 亜希子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本産業衛生学会 2002
日本産業衛生学会
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ISSN1341-0725
1349-533X
DOI10.1539/sangyoeisei.KJ00002552623

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Summary:水銀化合物の毒性発現のひとつとして, 生体内で恒常性の維持を担う酵素系の活性低下が示唆されている1,2). 我々は塩化第二水銀(HgCl_2 )をラットに投与すると, 本金属の標的臓器である腎臓において, アルギニン代謝のキーエンザイムで腎臓型のアルギナーゼII(ARII)活性が著しく低下することを明らかにした3). アルギナーゼ(AR)にはARIIの他に肝臓型のアルギナーゼI(ARI)が存在する. ARIは, 肝臓における尿素サイクルの構成酵素であり, カルバミルリン酸合成酵素I(CPSI), オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC), アルギニノコハク酸合成酵素(AS)およびアルギニノコハク酸リアーゼ(AL)とともに, アンモニアの解毒に働いている酵素である4,5). 無機水銀の毒性は腎臓に強く現れることを特徴としているが, 肝臓への影響については詳細な解析は成されていない. そこで本研究では, 無機水銀による肝臓中アルギニン代謝系の変動を明らかにする目的で, ARIの活性, ARIおよび他の尿素サイクル構成酵素群の酵素タンパク質レベルに及ぼすHgCl_2 の影響について検討した.
ISSN:1341-0725
1349-533X
DOI:10.1539/sangyoeisei.KJ00002552623