33.胸腔内に増大する血腫を呈した胸膜肉腫の1例(第34回 日本呼吸器内視鏡学会九州支部会)

症例は77歳, 被爆者の男性. 既往歴として, 10歳代で糖尿病発症, 74歳時に前立腺癌の診断にてホルモン療法を継続していた. 今回は胸部違和感を主訴に来院胸部X線写真にて右胸水を認め, 検査目的に入院となった. 胸部単純CTにて右胸腔内に胸水と腫瘤陰影を認め, 胸水穿刺, 胸膜生検を行うが, 良性疾患とも悪性疾患とも診断がつかず胸腔鏡検査を実施した. 胸腔鏡検査の所見では, 腫瘍は静脈瘤状の血腫に包まれ, 穿孔による出血の危険があるため, 生検は不可能であった. その後, 背部からエコーガイド下に, 経皮的に胸膜腫瘍の針生検を行い, 腫瘍組織の採取に成功した. HE染色にて, 紡錘型の悪性...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 33; no. 5; p. 400
Main Authors 福田, 秀明, 松村, 理世
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2011
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.33.5_400_4

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Summary:症例は77歳, 被爆者の男性. 既往歴として, 10歳代で糖尿病発症, 74歳時に前立腺癌の診断にてホルモン療法を継続していた. 今回は胸部違和感を主訴に来院胸部X線写真にて右胸水を認め, 検査目的に入院となった. 胸部単純CTにて右胸腔内に胸水と腫瘤陰影を認め, 胸水穿刺, 胸膜生検を行うが, 良性疾患とも悪性疾患とも診断がつかず胸腔鏡検査を実施した. 胸腔鏡検査の所見では, 腫瘍は静脈瘤状の血腫に包まれ, 穿孔による出血の危険があるため, 生検は不可能であった. その後, 背部からエコーガイド下に, 経皮的に胸膜腫瘍の針生検を行い, 腫瘍組織の採取に成功した. HE染色にて, 紡錘型の悪性腫瘍を認め, 肉腫系悪性腫瘍と考えられたため, 免疫染色を行った. Vimentin陽性で, 間葉系腫瘍と考えられたが, 確定診断までは至らず, 胸腔ドレナージのみで経過を見ることになった. 当初は多発する胸膜腫瘍は, 前立腺癌や腸管腫瘍からの転移も考慮したが, 右胸腔のみに限局しており, 腹部CTや腫瘍マーカーの検索より, 腫瘍は胸壁発生と思われた. 腫瘍は血腫を増大させながら進行し, 発生から2ヵ月目に死亡し, 剖検はできなかった. 今回我々は胸壁に血腫形成する悪性腫瘍を経験したが, 肉腫系の胸膜腫瘍の鑑別診断に難渋したため, 文献的考察を踏まえ報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.33.5_400_4