32.腎細胞癌術後の転移性気管内腫瘍に対し反復的レーザー治療を行った1例(第26回日本呼吸器内視鏡学会九州支部総会)

症例は68歳, 女性. 1988年, 左腎細胞癌にて左腎摘出術(詳細不明)を施行された. 2001年4月中旬より咽頭痛, 咳嗽, 喀痰のため近医通院していたがその後血痰が見られるようになった. 胸部単純写真上, 右上肺野に腫瘤陰影を認め, さらに胸部CT所見で両肺野に多発する腫瘤影を認めたため, 精査治療を目的に当院2外科に紹介となった. しかしながら, 弁膜症による心機能低下のため心臓外科的処置が当科での治療に先行した. 2001年9月, CTガイド下肺生検を施行し, 腎細胞癌の肺転移と診断された. 両側多発病変のため, 手術非適応と判断し, 泌尿器科に転科となった. 2002年4月, 肺の...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 25; no. 7; pp. 583 - 584
Main Authors 濱田, 利徳, 平塚, 昌文, 江夏, 総太郎, 川原, 克信, 三好, 立, 石丸, 雅巳, 山本, 希治, 二宮, 浩範, 白日, 高歩, 白石, 武史, 岩崎, 昭憲, 山本, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2003
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.25.7_583_4

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Summary:症例は68歳, 女性. 1988年, 左腎細胞癌にて左腎摘出術(詳細不明)を施行された. 2001年4月中旬より咽頭痛, 咳嗽, 喀痰のため近医通院していたがその後血痰が見られるようになった. 胸部単純写真上, 右上肺野に腫瘤陰影を認め, さらに胸部CT所見で両肺野に多発する腫瘤影を認めたため, 精査治療を目的に当院2外科に紹介となった. しかしながら, 弁膜症による心機能低下のため心臓外科的処置が当科での治療に先行した. 2001年9月, CTガイド下肺生検を施行し, 腎細胞癌の肺転移と診断された. 両側多発病変のため, 手術非適応と判断し, 泌尿器科に転科となった. 2002年4月, 肺の転移性病変の増大, 背部痛および労作時呼吸苦の増大のため当科に入院した. 胸部単純写真上, 左肺の無気肺を認め, さらに気管支鏡検査で, 左B6入口部より突出した左主気管支をほぼ完全に閉塞する腫瘍を認めた. 治療は, 全身麻酔下に気管支鏡下の腫瘤摘出術およびレーザー焼灼を施行(1度目)した. 以後腫瘍は局所再発を繰り返したため, 2002年6月(2度目), 2003年2月(3度目), 2003年6月(4度目)と気管支鏡下のレーザー焼灼を繰り返し施行した. 現在, 患者は担癌生存中で, また骨転移に対して放射線治療施行中である. 腎細胞癌は外科的切除以外に有効な補助療法は確立されておらず, 5年生存率は約50%とされている. 転移に関しては血行性が主体とされ, 肺, 骨, 肝への転移が多いとされるが, 気管支への転移の報告は比較的稀である. 今回, 我々は気管内転移を来した腎臓癌に対し, 反復的レーザー治療を行った症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.25.7_583_4