23.無気肺で発症し,内視鏡所見上肺癌との鑑別を要した,誤嚥による肉芽形成の1例(第138回 日本呼吸器内視鏡学会関東支部会)

症例は77歳, 女性. 呼吸困難と起床時血痰の精査目的のため当院紹介受診. 受診時に, 半年前にはなかった左舌区の無気肺が出現していた. 肺癌も鑑別に挙がったため, 気管支鏡検査を行った. その結果, 左上幹入口部の発赤および粘膜浮腫所見を認め, ほぼ内腔を閉塞するような易出血性の腫瘤性病変を認めた. 腫瘤の鉗子生検を行い, その病理所見で, 気道壁とともに細菌叢を伴う植物性異物を認め, 気道壁のビランと間質に小円形細胞浸潤・好中球浸潤を伴う肉芽組織の形成を認めた. 以上より, 不顕性誤嚥による気道異物に対する肉芽組織の形成に伴う舌区無気肺と診断し, 外来経過観察を行っている. 経過中に咳嗽と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 33; no. 6; p. 500
Main Authors 小林, 宏一, 中島, 由槻, 赤川, 志のぶ, 蛇澤, 晶, 島田, 昌裕, 赤司, 俊介, 川島, 正裕, 松井, 弘稔, 和田, 知博, 山根, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2011
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.33.6_500_3

Cover

More Information
Summary:症例は77歳, 女性. 呼吸困難と起床時血痰の精査目的のため当院紹介受診. 受診時に, 半年前にはなかった左舌区の無気肺が出現していた. 肺癌も鑑別に挙がったため, 気管支鏡検査を行った. その結果, 左上幹入口部の発赤および粘膜浮腫所見を認め, ほぼ内腔を閉塞するような易出血性の腫瘤性病変を認めた. 腫瘤の鉗子生検を行い, その病理所見で, 気道壁とともに細菌叢を伴う植物性異物を認め, 気道壁のビランと間質に小円形細胞浸潤・好中球浸潤を伴う肉芽組織の形成を認めた. 以上より, 不顕性誤嚥による気道異物に対する肉芽組織の形成に伴う舌区無気肺と診断し, 外来経過観察を行っている. 経過中に咳嗽と血痰が増加した時期があったが, 画像上は舌区無気肺の改善を認めている. 肺癌と鑑別を要した肉芽形成を経験したので, 若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.33.6_500_3