30.扁桃炎より進展した降下性壊死性縦隔炎に対し胸腔鏡下縦隔ドレナージ術を施行し救命し得た1例(第121回 日本呼吸器内視鏡学会関東支部会)

36歳男性.以前より扁桃炎を繰り返していた.今回,咽頭痛が出現し,近医で抗生剤を処方されたが,その後,前胸部痛が出現.さらに呼吸困難が出現し当院に救急搬送となった.来院時,喘鳴を伴う頻呼吸を呈し,頸部の著明な発赤,腫脹を認めた.また40.0℃の発熱,白血球数29100/mm3,CRP32.0mg/dlと炎症反応の異常高値を認めた.頸胸部CT検査では咽頭,喉頭周囲の著明な浮腫と上縦隔から気管分岐部に及ぶ縦隔脂肪組織の内部不均一な腫脹を認め,さらに右胸水を認めた.以上より降下性壊死性縦隔炎と診断し,同日緊急に胸腔鏡下に両側胸腔アプローチによる縦隔洗浄ドレナージならびに頸部アプローチによる排膿ドレナ...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 29; no. 4; p. 263
Main Authors 椎野, 王久, 坂本, 和裕, 山仲, 一輝, 山川, 泰, 椿原, 基史, 一万田, 充洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2007
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.29.4_263_1

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Summary:36歳男性.以前より扁桃炎を繰り返していた.今回,咽頭痛が出現し,近医で抗生剤を処方されたが,その後,前胸部痛が出現.さらに呼吸困難が出現し当院に救急搬送となった.来院時,喘鳴を伴う頻呼吸を呈し,頸部の著明な発赤,腫脹を認めた.また40.0℃の発熱,白血球数29100/mm3,CRP32.0mg/dlと炎症反応の異常高値を認めた.頸胸部CT検査では咽頭,喉頭周囲の著明な浮腫と上縦隔から気管分岐部に及ぶ縦隔脂肪組織の内部不均一な腫脹を認め,さらに右胸水を認めた.以上より降下性壊死性縦隔炎と診断し,同日緊急に胸腔鏡下に両側胸腔アプローチによる縦隔洗浄ドレナージならびに頸部アプローチによる排膿ドレナージ術を施行した.術後はICUにて17日間の気管内挿管管理を要したが,術後24日目に軽快退院となった.降下性壊死性縦隔炎は致命率の高い疾患であり,治療には早期診断と確実なドレナージ術を施行することが重要である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.29.4_263_1