28.肺底動脈大動脈起始症の2例(第30回 日本呼吸器内視鏡学会九州支部総会)

症例1は36歳, 男性. 血痰を主訴に来院し胸部X線にて右下肺野に血液の吸引と思われるすりガラス状陰影を認めた. 気管支鏡検査では右B10に凝血塊を認め同部からの出血と思われたが, 気管支の分岐に異常は認めなかった. 胸部造影CTでは腹腔動脈起始部より約1cm頭側の腹部大動脈から径約5mmの異常血管が分岐しており, 上行して右肺底区に流入していた. A9, 10の発達がやや悪い傾向にあったが他に肺血管の分岐異常は見られず, 明らかな分画肺を認めないことから右肺底動脈大動脈起始症と診断し右下葉切除を施行した. 症例2は29歳, 男性. 来院の1年前より時おり血痰を認めており, 職場検診にて胸部X...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 29; no. 6; p. 375
Main Authors 堀岡, 宏平, 清水, 香里, 田村, 和貴, 濱崎, 景子, 中崎, 隆行, 谷口, 英樹, 高原, 耕, 進藤, 久和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2007
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.29.6_375_1

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Summary:症例1は36歳, 男性. 血痰を主訴に来院し胸部X線にて右下肺野に血液の吸引と思われるすりガラス状陰影を認めた. 気管支鏡検査では右B10に凝血塊を認め同部からの出血と思われたが, 気管支の分岐に異常は認めなかった. 胸部造影CTでは腹腔動脈起始部より約1cm頭側の腹部大動脈から径約5mmの異常血管が分岐しており, 上行して右肺底区に流入していた. A9, 10の発達がやや悪い傾向にあったが他に肺血管の分岐異常は見られず, 明らかな分画肺を認めないことから右肺底動脈大動脈起始症と診断し右下葉切除を施行した. 症例2は29歳, 男性. 来院の1年前より時おり血痰を認めており, 職場検診にて胸部X線上, 左下肺野に異常陰影を指摘され当院を受診した. 胸部造影CTでは肺動脈のA6までの分岐には異常を認めないが肺底区枝は欠損し, 大動脈から径約1cmの異常血管が直接肺底区域に流入し, V6は異常血管の背側を回って左房に還流していた. 左肺底動脈大動脈起始症と診断し左下葉切除を施行した. 本症は気管支肺胞系に異常のない肺組織に, 大動脈から直接分岐した異常血管が流入する先天性の肺動脈形成異常でPryceらによる肺葉内肺分画症の分類I型に相当する. 2例とも血痰を生じており将来肺高血圧や喀血, 心不全を生じる危険もあり手術適応とした. 文献的考察を加え報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.29.6_375_1