28.診断に難渋したdesmoplastic typeの悪性胸膜中皮腫の1例(第126回日本呼吸器内視鏡学会関東支部会)

症例はアスベスト曝露歴のある50歳代の男性. 2007年5月に胸痛を主訴に当科を受診した. CTで右胸水と胸膜プラークを認めた. 胸水細胞診はclass IIであった. 2007年7月に局所麻酔下胸腔鏡検査を行ったところ, フィブリン析出と胸膜肥厚を認めたが組織診では非特異的変化であった. 良性石綿胸水と診断し経過観察していたところ胸膜肥厚は強くなり, 胸痛が増強した. そのため2007年11月に全身麻酔下胸腔鏡検査を施行した. 肉眼的にはフィブリンの析出と胸膜の肥厚を認めるのみで, いわゆる悪性腫瘍を疑う隆起性病変は認めなかった. この胸膜肥厚の部分を生検したが病理学的にも非特異的所見のみと...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 30; no. 6; p. 425
Main Authors 大眉, 寿々子, 鈴木, 隆, 國分, 二三男, 林, 誠, 土屋, 裕, 岩崎, 拓也, 武田, 純一, 植草, 利公, 山口, 史博, 山下, 潤, 菊池, 敏樹, 倉石, 博, 多田, 麻美, 冨田, 尚吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2008
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.30.6_425_1

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Summary:症例はアスベスト曝露歴のある50歳代の男性. 2007年5月に胸痛を主訴に当科を受診した. CTで右胸水と胸膜プラークを認めた. 胸水細胞診はclass IIであった. 2007年7月に局所麻酔下胸腔鏡検査を行ったところ, フィブリン析出と胸膜肥厚を認めたが組織診では非特異的変化であった. 良性石綿胸水と診断し経過観察していたところ胸膜肥厚は強くなり, 胸痛が増強した. そのため2007年11月に全身麻酔下胸腔鏡検査を施行した. 肉眼的にはフィブリンの析出と胸膜の肥厚を認めるのみで, いわゆる悪性腫瘍を疑う隆起性病変は認めなかった. この胸膜肥厚の部分を生検したが病理学的にも非特異的所見のみとのことであった. しかし, 胸痛は改善せず, さらに悪化したため, PETを行うとともに病理組織標本を再考し免疫染色を追加した. この結果, desmoplastic typeの悪性胸膜中皮腫と診断した. 現在, 他院で化学療法施行中である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.30.6_425_1