自閉症スペクトラム障害のある高校生が示した外出恐怖に対する段階的プログラムの効果

本研究においては外出恐怖を示し不登校状態にあった自閉症スペクトラム障害のある高校生を対象として、外出行動の増加と範囲の拡大、そして外出に伴う不安や恐怖の低減を目的とした「現実場面において嫌悪状況に段階的に接近させていく手続き」(段階的プログラム)を適用した。段階的プログラムは、母親の協力を得ながら、ホームワーク形式で実施された。さらに、在籍していた高校の中退に伴い、進路選択に関するガイダンスなども併せて行うことにより再就学を支援した。その結果、標的とした場所への外出が可能となり、外出に伴う不安や恐怖はほぼ消失した。また、その成果はほかの場所へも般化した。再就学した高校への登校行動は2年間維持し...

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Published in行動療法研究 Vol. 43; no. 2; pp. 137 - 146
Main Author 大久保, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本認知・行動療法学会 31.05.2017
日本認知・行動療法学会
Japanese Association for Behavioral and Cognitive Therapies( JABCT )
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ISSN0910-6529
2424-2594
DOI10.24468/jjbt.15-130

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Summary:本研究においては外出恐怖を示し不登校状態にあった自閉症スペクトラム障害のある高校生を対象として、外出行動の増加と範囲の拡大、そして外出に伴う不安や恐怖の低減を目的とした「現実場面において嫌悪状況に段階的に接近させていく手続き」(段階的プログラム)を適用した。段階的プログラムは、母親の協力を得ながら、ホームワーク形式で実施された。さらに、在籍していた高校の中退に伴い、進路選択に関するガイダンスなども併せて行うことにより再就学を支援した。その結果、標的とした場所への外出が可能となり、外出に伴う不安や恐怖はほぼ消失した。また、その成果はほかの場所へも般化した。再就学した高校への登校行動は2年間維持しており、問題の再発は約3年間にわたってみられなかった。最後に本事例に関する成果と課題について考察を行った。
ISSN:0910-6529
2424-2594
DOI:10.24468/jjbt.15-130