竹重ら"緊急手術を要した自然血気胸の2例"

大学での保健管理という立場上, キャンパス内で自然気胸を発症した学生とは少なからず遭遇する. これまでのさほど多いとは言えない臨床経験で生命危機を感じた自然気胸は何例かあったが, 緊張性気胸が多く, 出血性ショックをきたした血気胸は1例だけである. 呼吸器外科にお願いして開胸手術をしていただいたが, 肺尖部の癒着部破綻によるとのことであった. 気胸の多くは安静時, または通常活動時に発症する. 本論文での2例の気胸発症はともに, 運動中, ゴルフまたはストレッチ体操中であり, 胸部の活発な運動に関係しているようにも思われるが, 偶然と考える方が妥当ではないか. さて, この2例のポイントは,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 30; no. 5; pp. 245 - 246
Main Author 長尾, 啓一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2008
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.30.5_245

Cover

More Information
Summary:大学での保健管理という立場上, キャンパス内で自然気胸を発症した学生とは少なからず遭遇する. これまでのさほど多いとは言えない臨床経験で生命危機を感じた自然気胸は何例かあったが, 緊張性気胸が多く, 出血性ショックをきたした血気胸は1例だけである. 呼吸器外科にお願いして開胸手術をしていただいたが, 肺尖部の癒着部破綻によるとのことであった. 気胸の多くは安静時, または通常活動時に発症する. 本論文での2例の気胸発症はともに, 運動中, ゴルフまたはストレッチ体操中であり, 胸部の活発な運動に関係しているようにも思われるが, 偶然と考える方が妥当ではないか. さて, この2例のポイントは, ともに胸壁とブラを連結する異常血管破綻に起因した血気胸であったということである. その異常血管とはいかなるものか. 本論文の目的が自然血気胸の治療に関することであるので, 異常血管に関する詳細には触れられていない. 異常血管について本論文で引用されている文献1(Hsu NY, et al)からさらに遡っていくと, この領域での日本の報告がいかに優れているかがわかる.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.30.5_245