38.豆類の誤嚥を繰り返した高齢者の1例(第18回 日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)

症例は81歳男性. 既往歴としては, 肺結核のため50年前に左肺全摘術後, 糖尿病のために近医に通院中である. 4月下旬の夕食後に突然喘鳴が出現し, 近医を受診した. 気管支喘息重積発作として, ステロイドの点滴, 気管支拡張薬の吸入を行われるも改善せず4日後に当院へ紹介となった. 胸部X線では左肺全摘後以外の所見は認めなかったが, 胸部CTにて右中間幹内に径10mm弱の結節があり, 内腔に突出する腫瘍が疑われた. このため気管支内視鏡検査を施行したところ右中間幹にグリンピースを認め, 除去したところ症状は改善し退院となっていた. 10月下旬に昼食後に, 再び喘鳴が出現し近医を受診した. 問診...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 32; no. 2; pp. 204 - 205
Main Authors 青江, 啓介, 尾形, 佳子, 前田, 忠士, 村上, 一生, 大石, 景士, 畝川, 芳彦, 片山, 英樹, 近森, 研一, 上岡, 博, 岸野, 大蔵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.32.2_204_3

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Summary:症例は81歳男性. 既往歴としては, 肺結核のため50年前に左肺全摘術後, 糖尿病のために近医に通院中である. 4月下旬の夕食後に突然喘鳴が出現し, 近医を受診した. 気管支喘息重積発作として, ステロイドの点滴, 気管支拡張薬の吸入を行われるも改善せず4日後に当院へ紹介となった. 胸部X線では左肺全摘後以外の所見は認めなかったが, 胸部CTにて右中間幹内に径10mm弱の結節があり, 内腔に突出する腫瘍が疑われた. このため気管支内視鏡検査を施行したところ右中間幹にグリンピースを認め, 除去したところ症状は改善し退院となっていた. 10月下旬に昼食後に, 再び喘鳴が出現し近医を受診した. 問診により昼食にグリンピースを食べたとのことから当院へ紹介となった. 胸部CT, 気管支内視鏡所見ともに前回とほぼ同じでありグリンピースを除去後軽快した. 高齢者の誤嚥は日常的に経験する病態である. 気道異物も時に経験するが, 成人の場合は義歯やPTP(press through pack)が多く, 豆類は小児に多いとされている. X線非透過異物の場合は診断までに時間がかかることも多く, 摘出後も重大な合併症をきたすと言われている. 難治性の気管支喘息が疑われる場合は, 気道異物も念頭において鑑別を行う必要があると思われ, 文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.2_204_3