6.化学放射線療法中に気管支心嚢瘻が生じた原発性肺扁平上皮癌の1例(第31回 日本呼吸器内視鏡学会北海道支部会)
症例は73歳男性. 2009年4月頃より乾性咳嗽が出現し, 全身倦怠感・労作時呼吸困難もみられたため同年5月中旬に近医受診. 胸部異常影と心房細動を認めたため翌日当院紹介受診, 入院となる. 胸部X線およびCTでは左上葉無気肺を伴う約26×36mmの肺門部腫瘤を認め, 両側胸水および心嚢液も認められた. 入院後施行した気管支鏡検査で左主気管支内腔に突出する腫瘍を認め, 同部位の擦過細胞診で扁平上皮癌の診断となった. また心タンポナーデへの移行を危惧し心嚢ドレナージを施行したところ, 心嚢液は細胞診で悪性細胞は認められなかったものの血性であり, CTで左肺門部腫瘍が明らかに心嚢に浸潤していること...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 32; no. 1; p. 81 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2010
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.32.1_81_3 |
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Summary: | 症例は73歳男性. 2009年4月頃より乾性咳嗽が出現し, 全身倦怠感・労作時呼吸困難もみられたため同年5月中旬に近医受診. 胸部異常影と心房細動を認めたため翌日当院紹介受診, 入院となる. 胸部X線およびCTでは左上葉無気肺を伴う約26×36mmの肺門部腫瘤を認め, 両側胸水および心嚢液も認められた. 入院後施行した気管支鏡検査で左主気管支内腔に突出する腫瘍を認め, 同部位の擦過細胞診で扁平上皮癌の診断となった. また心タンポナーデへの移行を危惧し心嚢ドレナージを施行したところ, 心嚢液は細胞診で悪性細胞は認められなかったものの血性であり, CTで左肺門部腫瘍が明らかに心嚢に浸潤していることと併せて, 癌性心膜炎によるものと診断した. 早い時期での腫瘍増大による左主気管支完全閉塞の可能性を危惧し, カルボプラチン(AUC=2.5, day 1 and 8)+パクリタキセル(50mg/m 2, day 1 and 8)の全身化学療法と左肺門部腫瘍に対する姑息的放射線照射を同時並行で行った. その後, 化学療法1コースと放射線照射14Gy終了時点での胸部X線で左心シルエットに重なる含気像がみられたため胸部CTを撮影したところ, 左肺門部腫瘍内部の壊死脱落に伴う左主気管支壁の破綻と心嚢気腫を認め, 気管支心嚢瘻が強く疑われた. 直ちに気管支鏡検査を施行したところ, 左主気管支前壁に数mm大の瘻孔が確認され, 化学放射線療法による原発巣縮小のため形成された気管支心嚢瘻と診断した. これはまれな病態であり若干の文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.32.1_81_3 |