3.ヘルペスウイルス肺炎の合併を疑った肺腫瘍の1例(第26回日本呼吸器内視鏡学会九州支部総会)
【緒言】ヘルペスウイルス肺炎は健常人では稀な疾患であるが, 担癌症例, 免疫不全症例などで時に発症し, しばしば重篤化する. 今回我々は, ヘルペスウイルス肺炎の合併を疑った肺腫瘍の1例を経験したので報告する. 【症例】86歳の男性. 〔主訴〕咳漱, 右胸痛および背部痛. 〔既往歴〕74歳:肺結核, 78歳:脳梗塞, 84歳:胆石症. 〔現病歴〕右胸痛および背部痛が1年程前よりあるも放置していた. 咳漱出現し近医受診したところ胸部単純写真にて右肺上葉の腫瘤影を指摘された. 〔入院経過〕入院時Perfomance status(PS)は3であった. 胸椎に接する右肺上葉の腫瘤影と右胸水を認めた....
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 25; no. 7; p. 576 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2003
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.25.7_576_3 |
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Summary: | 【緒言】ヘルペスウイルス肺炎は健常人では稀な疾患であるが, 担癌症例, 免疫不全症例などで時に発症し, しばしば重篤化する. 今回我々は, ヘルペスウイルス肺炎の合併を疑った肺腫瘍の1例を経験したので報告する. 【症例】86歳の男性. 〔主訴〕咳漱, 右胸痛および背部痛. 〔既往歴〕74歳:肺結核, 78歳:脳梗塞, 84歳:胆石症. 〔現病歴〕右胸痛および背部痛が1年程前よりあるも放置していた. 咳漱出現し近医受診したところ胸部単純写真にて右肺上葉の腫瘤影を指摘された. 〔入院経過〕入院時Perfomance status(PS)は3であった. 胸椎に接する右肺上葉の腫瘤影と右胸水を認めた. 気管支鏡検査, 胸水穿刺施行するも細胞診はclassI-IIであった. 頭部MRI, 腹部CTにて転移は認めなかった. CEA6.4ng/ml, シフラ6.9ng/mlと上昇を認めた. 入院後2週間でPSが4に低下し, 右胸痛, 背部痛に対する疼痛コントロールを行っていたが, 入院1ヵ月後に熱発と左肺の浸潤影が出現した. 左肺の陰影は胸部CTにて間質性陰影を主体としていた. 喀疫細胞診にてスリガラス状核と大型核内封入体を伴う細胞が認められヘルペスウイルス感染が疑われた. 血清中の単純ヘルペス, 水痘帯状ヘルペスIgM抗体価は上昇していなかった. アシクロビル, 免疫グロブリン製剤投与するが軽快せず, 5日後に死亡退院された. 【まとめ】ヘルペスウイルス肺炎の合併を疑った肺腫瘍の1例を報告した. ヘルペスウイルス肺炎の診断に喀痰細胞診は有用であると思われた. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.25.7_576_3 |