29.気管癌と上咽頭癌の同時性重複癌の1例(第131回 日本呼吸器内視鏡学会関東支部会)

気管癌と上咽頭癌の同時性重複癌はまれである. 今回われわれは上咽頭癌と気管癌の同時性重複癌に対し, 気管癌の手術を先行することで, 安全に上咽頭癌の治療を施行中の1例を経験したので報告する. 症例は61歳, 女性. 前医で頸部リンパ節腫大の精査で上咽頭癌と診断された. 同時に気管内腔に突出する第5～10気管軟骨輪に及ぶ腫瘍を認め, 気管支鏡で気管癌と診断され, 手術目的に当科紹介となった. 手術は, 正中切開で気管に到達した. 腫瘍が食道壁に浸潤していたため, 気管内腔への隆起を認める範囲のみの切除にとどめ, 気管管状切除＋気管形成術を施行した. 病理組織学的検査で, 腫瘍は主に篩状構造を有し...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 32; no. 1; p. 97
Main Authors 井上, 慶明, 儀賀, 理暁, 井澤, 菜緒子, 竹内, 健, 中山, 光男, 菊池, 功次, 江口, 圭介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.32.1_97_2

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Summary:気管癌と上咽頭癌の同時性重複癌はまれである. 今回われわれは上咽頭癌と気管癌の同時性重複癌に対し, 気管癌の手術を先行することで, 安全に上咽頭癌の治療を施行中の1例を経験したので報告する. 症例は61歳, 女性. 前医で頸部リンパ節腫大の精査で上咽頭癌と診断された. 同時に気管内腔に突出する第5～10気管軟骨輪に及ぶ腫瘍を認め, 気管支鏡で気管癌と診断され, 手術目的に当科紹介となった. 手術は, 正中切開で気管に到達した. 腫瘍が食道壁に浸潤していたため, 気管内腔への隆起を認める範囲のみの切除にとどめ, 気管管状切除＋気管形成術を施行した. 病理組織学的検査で, 腫瘍は主に篩状構造を有しており, adenoid cystic carcinomaと診断した. 粘膜下に腫瘍浸潤が認められ, 断端は陽性であった. 術後気管支鏡で, 吻合部の治癒過程は良好で, 術後第14病日に退院となった. 現在, 前医にて上咽頭癌に対する放射線＋抗癌剤治療を施行中である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.1_97_2