37.食物異物誤嚥による炎症性肉芽組織により閉塞性肺炎を繰り返した1例(第18回 日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)

症例は70歳代, 男性. x年9月上旬から続く咳嗽, 喀痰, 発熱のために近医を受診. 肺炎と診断され, 入院精査加療目的に当科紹介された. 抗菌薬の点滴により病状は回復した. しかし, 胸部単純写真上の陰影の改善がなく, 胸部CT写真にて, 左下葉が無気肺になっていることが分かり, 気管支鏡検査を行った. 気管支鏡所見では, 左下葉入口部が肉芽組織により高度に狭窄していた. 同部からの生検組織診および細胞診ではいずれも悪性所見など特異的所見を得ることができなかった. 一旦退院し経過を診ていたが, 数週間後に再び肺炎様症状を起こしたため, 再度精査加療目的に当科に入院となった. 胸部単純写真お...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 32; no. 2; p. 204
Main Authors 山地, 康文, 氏家, はる代, 宮谷, 克也, 大原, 昇平, 南木, 伸基, 中村, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.32.2_204_2

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Summary:症例は70歳代, 男性. x年9月上旬から続く咳嗽, 喀痰, 発熱のために近医を受診. 肺炎と診断され, 入院精査加療目的に当科紹介された. 抗菌薬の点滴により病状は回復した. しかし, 胸部単純写真上の陰影の改善がなく, 胸部CT写真にて, 左下葉が無気肺になっていることが分かり, 気管支鏡検査を行った. 気管支鏡所見では, 左下葉入口部が肉芽組織により高度に狭窄していた. 同部からの生検組織診および細胞診ではいずれも悪性所見など特異的所見を得ることができなかった. 一旦退院し経過を診ていたが, 数週間後に再び肺炎様症状を起こしたため, 再度精査加療目的に当科に入院となった. 胸部単純写真および胸部CT写真では前回と同様の所見であったため, 再び気管支鏡検査を行った. 2回目の気管支鏡検査でも同様の所見であったため, 今度は生検鉗子, 特に鰐口生検鉗子を用いて可能な限り肉芽様組織を採取した. これにより左下葉入口部は高度の閉塞が解除され, 左下葉の含気が回復した. 生検組織の所見では, 「フィブリン塊とともに炎症性肉芽組織を主にみる気道粘膜, および食物片と考えられる植物組織が採取されている. 誤嚥の既往はいかがか?わずかにみられる気道上皮には一部扁平上皮化生を認める」であった. 繰り返しの病歴聴取でもそれまでは誤嚥の既往を聴取できなかったが, 詳細に聴取するとピーナッツを誤嚥した可能性があるとのことであった. 比較的稀な病態であると考えられたので若干の文献的考察を含めて報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.2_204_2