バスケットボールのフリースロー予測に対する運動シミュレーションの役割

「序論」 対戦競技や球技スポーツにおいて, 将来起こり得る事象を早い段階で正確に予測する能力は, 高いパフォーマンス発揮に結びつく重要な要因の一つである. 実際, テニスやバドミントンにおいて相手の打球方向を予測する場合, 非熟練者は相手が打球した後の飛球情報によって打球方向を予測するのに対し, 熟練者は相手の打球前の打動作に基づいて将来的な打球方向を正確に予測することができる(Abernethy, 1990;海野・杉原, 1989). また, バスケットボールの非熟練者はシュートリリース後の飛球情報によって, 熟練者はシュートリリース前の投動作によって, 他者のフリースローの成否を予測すると...

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Published inスポーツ心理学研究 Vol. 41; no. 2; pp. 105 - 114
Main Authors 幾留, 沙智, 森, 司朗, 畝中, 智志, 中本, 浩揮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本スポーツ心理学会 2014
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ISSN0388-7014
1883-6410
DOI10.4146/jjspopsy.2014-1309

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Summary:「序論」 対戦競技や球技スポーツにおいて, 将来起こり得る事象を早い段階で正確に予測する能力は, 高いパフォーマンス発揮に結びつく重要な要因の一つである. 実際, テニスやバドミントンにおいて相手の打球方向を予測する場合, 非熟練者は相手が打球した後の飛球情報によって打球方向を予測するのに対し, 熟練者は相手の打球前の打動作に基づいて将来的な打球方向を正確に予測することができる(Abernethy, 1990;海野・杉原, 1989). また, バスケットボールの非熟練者はシュートリリース後の飛球情報によって, 熟練者はシュートリリース前の投動作によって, 他者のフリースローの成否を予測するとされている(Aglioti et al., 2008; 石橋ほか, 2010; Wu et al., 2013). すなわち, スポーツ競技に求められる早い段階での正確な予測を行うためには, 熟練者の特徴として挙げられるように, 飛球情報ではなく, 相手の身体動作から得られる運動情報の認識に基づく予測スキルの獲得が必須であるとされている(Abernethy and Zawi, 2007;Abernethy et al., 2008; 福原ほか, 2009; Williams and Grant, 1999).
ISSN:0388-7014
1883-6410
DOI:10.4146/jjspopsy.2014-1309