光干渉断層計を用いた歯の加齢的変化の非侵襲画像診断

高齢者人口の急激な増加により歯の亀裂と摩耗が増加し,病変の進行が新たな課題となっている.光干渉断層計(OCT)は生体組織の内部から反射する後方散乱光を計測し,断層画像を構築することから,これらの病的変化の診断が可能と思われる.本研究では,OCTを用いて歯の亀裂と摩耗の観察を行い,評価を試みた.波長掃引型(SS-)OCTを用いると,後方散乱光シグナルによってエナメル質亀裂の有無と深さを観察することができ,象牙質まで侵入した亀裂も正確に診断することができた.また3D SS-OCTの評価により,エナメル質亀裂の形態が歯の発症部位によって異なることがわかった.非齲蝕性歯頚部欠損(NCCL)はセメント-...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 39; no. 1; pp. 28 - 36
Main Authors 島田, 康史, 吉山, 昌宏, 和田, 郁美, セガラ, ミッシェル, 今井, 加奈子, 中嶋, 省志, 角, 保徳, 田上, 順次, サダル, アリレザ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 15.04.2018
日本レーザー医学会
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ISSN0288-6200
1881-1639
DOI10.2530/jslsm.jslsm-39_0007

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Summary:高齢者人口の急激な増加により歯の亀裂と摩耗が増加し,病変の進行が新たな課題となっている.光干渉断層計(OCT)は生体組織の内部から反射する後方散乱光を計測し,断層画像を構築することから,これらの病的変化の診断が可能と思われる.本研究では,OCTを用いて歯の亀裂と摩耗の観察を行い,評価を試みた.波長掃引型(SS-)OCTを用いると,後方散乱光シグナルによってエナメル質亀裂の有無と深さを観察することができ,象牙質まで侵入した亀裂も正確に診断することができた.また3D SS-OCTの評価により,エナメル質亀裂の形態が歯の発症部位によって異なることがわかった.非齲蝕性歯頚部欠損(NCCL)はセメント-エナメル境付近の欠損であり,齲蝕以外の原因によって発症する.In vivoのNCCLについてSS-OCTの断層画像を撮影し,NCCLの大きさと歯頚部エナメル質の亀裂,脱灰を調査し比較した.また,臨床でみられる咬合面の摩耗についてSS-OCTによる観察を行った結果,エナメル質と象牙質の残存歯質を表示することができた.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm.jslsm-39_0007