下肢運動麻痺患者に対する新頭針療法の評価

被験者として4名の健常者と7名の歩行障害者を用いた。健常者の2名と障害者の7名には頭針を施行し,頭針前,後における負荷牽引力を比較した。1シリーズの牽引実験では負荷を0.5,L5,2.5及び3.5kgと連続的に変化させ,各負荷毎に足関節を背曲させて最小癩大の牽引挙上を行わせた。下肢筋の収縮に伴って生じる筋電気活動量を前脛骨筋より誘導し,足関節運動量との関係を調べることによって健常者の左右下肢の筋力を比較することが可能であったが,運動障害者には適用できなかった。 頭針効果を判定するため足関節の背曲運動によってなされた仕事量(loule),即ち負荷(kg)とその移動距離(cm)との積,によって下肢...

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Published in日本良導絡自律神経学会雑誌 Vol. 34; no. 9; pp. 223 - 240
Main Authors 山元, 敏勝, 石河, 延貞
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本良導絡自律神経学会 1989
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ISSN0913-0977
1884-7595
DOI10.17119/ryodoraku1986.34.223

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Summary:被験者として4名の健常者と7名の歩行障害者を用いた。健常者の2名と障害者の7名には頭針を施行し,頭針前,後における負荷牽引力を比較した。1シリーズの牽引実験では負荷を0.5,L5,2.5及び3.5kgと連続的に変化させ,各負荷毎に足関節を背曲させて最小癩大の牽引挙上を行わせた。下肢筋の収縮に伴って生じる筋電気活動量を前脛骨筋より誘導し,足関節運動量との関係を調べることによって健常者の左右下肢の筋力を比較することが可能であったが,運動障害者には適用できなかった。 頭針効果を判定するため足関節の背曲運動によってなされた仕事量(loule),即ち負荷(kg)とその移動距離(cm)との積,によって下肢筋の牽引力(筋力)を表した。頭針によって(1)連続する2っ以上の負荷牽引実験シリーズにおいて筋最大仕事量が増加或は減少の一定方向に変化し,(2)増減の程度が対照殖の±20%を越えた場合に頭針効果ありと判定した。 1)健常者では両側,患者では1側下肢の負荷牽引力(筋力)が正常であるとき,頭針は両側または1側の下肢の筋力に抑制をもたらす(A3左右,A4右)か影響を与えない(B1~4右とB7左)かのどちらかであった。抑制は2人の健常者が行った左右合わせて4回の負荷牽引実験シリーズのうち3シリーズ6負荷についてみられ,頭針による筋仕事量の減少は0。26~0。67joule(平均値±SEMは0。44±0。06joule)であった。 2)運動障害者を被験者とする13頭針例中,頭針が障害肢の筋力を増強させたのは7例(53.8%,B3-6右とB8右,9左,10左右)で,残りの6例には効果がなかった。増強は7牽・引実験シリーズ17負荷にっいてみられ,筋仕事量が0.02~0.9310ule(平均値±SEMは0.27±0.07joule)増加した。 3)障害肢の筋力は原因疾患の程度や発病後の経過によって異なる。筋力がよく保存されている場合ほど頭針による筋力改善効果が著しい。
ISSN:0913-0977
1884-7595
DOI:10.17119/ryodoraku1986.34.223