増殖制限型ウイルスベクターによる頭頸部癌の遺伝子治療

「遺伝子治療の概念」癌の増殖, 悪性化, 転移に関する分子機構が明らかになるにつれ, これらの機構を蛋白やmRNAレベルで制御しようという概念が生まれてきた. この中には, p53癌抑制遺伝子による遺伝子治療のように「異常遺伝子を持つ細胞に正常遺伝子を導入する」治療法1)や, アンチセンス投与のように「細胞が持つ異常遺伝子の発現をmRNAレベルで抑制する」治療法など, 遺伝子レベルで分子機構を調整しようとする狭義の遺伝子治療の他, 抗CD20抗体(リツキサン)のように腫瘍特異的抗原を標的した抗体療法, EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(Iressa)など腫瘍の増殖に関わるシグナル伝達系などをター...

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Published in喉頭 Vol. 17; no. 2; pp. 89 - 91
Main Authors 田中, 博紀, 丹生, 健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 2005
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ISSN0915-6127
2185-4696
DOI10.5426/larynx1989.17.2_89

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Summary:「遺伝子治療の概念」癌の増殖, 悪性化, 転移に関する分子機構が明らかになるにつれ, これらの機構を蛋白やmRNAレベルで制御しようという概念が生まれてきた. この中には, p53癌抑制遺伝子による遺伝子治療のように「異常遺伝子を持つ細胞に正常遺伝子を導入する」治療法1)や, アンチセンス投与のように「細胞が持つ異常遺伝子の発現をmRNAレベルで抑制する」治療法など, 遺伝子レベルで分子機構を調整しようとする狭義の遺伝子治療の他, 抗CD20抗体(リツキサン)のように腫瘍特異的抗原を標的した抗体療法, EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(Iressa)など腫瘍の増殖に関わるシグナル伝達系などをターゲットとした分子標的治療なども, 広い意味での遺伝子治療も含まれる(図1)2). 「各ウイルスベクターの特徴」アデノウィルスベクターは, 現在, 最も確実に遺伝子発現が期待できる遺伝子導入技術として, 臨床応用を含む遺伝子研究で幅広く用いられている.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx1989.17.2_89