咽頭と気管に再発した肺MALTリンパ腫の1例

背景.肺MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫は稀な疾患であり,治療法は確立されていない.症例.58歳,女性.既往歴に再生不良性貧血がある.2004年に検診で胸部異常陰影を指摘され,気管支鏡検査にて,気管分岐部,左肺上区B^<1+2>に隆起性病変が認められた.気管分岐部からの生検で,MALTリンパ腫と診断された.経過観察のみで,気管・肺病変とも一時期,自然消退したが,2006年に両下肺野にすりガラス影が出現したため,当科外来を紹介受診した.気管支鏡所見では,前回の病変は消失していたが,新たに気管右壁からの隆起性病変が認められた.同時に...

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Published in気管支学 Vol. 33; no. 1; pp. 28 - 32
Main Authors 田島, 俊児, 岡島, 正明, 寺田, 正樹, 鈴木, 栄一, 森山, 寛史, 田中, 淳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2011
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.33.1_28

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Summary:背景.肺MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫は稀な疾患であり,治療法は確立されていない.症例.58歳,女性.既往歴に再生不良性貧血がある.2004年に検診で胸部異常陰影を指摘され,気管支鏡検査にて,気管分岐部,左肺上区B^<1+2>に隆起性病変が認められた.気管分岐部からの生検で,MALTリンパ腫と診断された.経過観察のみで,気管・肺病変とも一時期,自然消退したが,2006年に両下肺野にすりガラス影が出現したため,当科外来を紹介受診した.気管支鏡所見では,前回の病変は消失していたが,新たに気管右壁からの隆起性病変が認められた.同時に上咽頭部に腫瘤が認められ,同部位からの生検にてMALTリンパ腫と診断された.以上より肺MALTリンパ腫の咽頭および気管への再発と診断した.気管病変が増大傾向を示したため,放射線療法(30Gy/15回)を施行し,軽決した.咽頭病変は自然消退した.結論.肺MALTリンパ腫の複数箇所への再発例は稀であり報告した.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.33.1_28