口蓋裂児における耳鼻咽喉科疾患の治療
「1. はじめに」口蓋裂は胎生7~12週に両口蓋棚と中間額, 鼻中隔の癒合不全により生じる. 原因は多因子遺伝子異常と環境要因の相互作用によるとされている. 本邦では約550人に1人に発生し, ほかの先天異常を合併することも多い. 口蓋裂には軟口蓋裂, 硬軟口蓋裂, 口唇口蓋裂, 粘膜下口蓋裂がある. 「2. 症状・疾患」口蓋裂児にみられる耳鼻咽喉科領域の症状・疾患は鼻咽腔閉鎖不全による構音障害, 開鼻声, 嚥下障害と耳管機能不全, 側頭骨乳突蜂巣の含気低下による難治性の滲出性中耳炎(OME)である. このほか高度の鼻中隔弯曲症, 下鼻甲介肥大を伴っていることが多い. また歯列の異常に伴う咀嚼...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 118; no. 10; pp. 1252 - 1253 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.10.2015
日本耳鼻咽喉科学会 |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.118.1252 |
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Summary: | 「1. はじめに」口蓋裂は胎生7~12週に両口蓋棚と中間額, 鼻中隔の癒合不全により生じる. 原因は多因子遺伝子異常と環境要因の相互作用によるとされている. 本邦では約550人に1人に発生し, ほかの先天異常を合併することも多い. 口蓋裂には軟口蓋裂, 硬軟口蓋裂, 口唇口蓋裂, 粘膜下口蓋裂がある. 「2. 症状・疾患」口蓋裂児にみられる耳鼻咽喉科領域の症状・疾患は鼻咽腔閉鎖不全による構音障害, 開鼻声, 嚥下障害と耳管機能不全, 側頭骨乳突蜂巣の含気低下による難治性の滲出性中耳炎(OME)である. このほか高度の鼻中隔弯曲症, 下鼻甲介肥大を伴っていることが多い. また歯列の異常に伴う咀嚼障害を認める. 「3. 病態」「1)鼻咽腔閉鎖機能」軟口蓋は口蓋帆とも呼ばれ, 軟口蓋には口蓋帆挙筋, 口蓋帆張筋, 口蓋垂筋, 口蓋咽頭筋, 口蓋舌筋, 上咽頭収縮筋がある. 口蓋帆挙筋が最も鼻咽腔閉鎖に関与している. 左右の口蓋帆挙筋は正中で結合し, 筋輪を作る. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.118.1252 |