スペシャルオリンピックスにおける眼科検診の必要性について -医療ボランティア活動と調査を通して

目的:スペシャルオリンピックス(以下SO)が開催した熊本地方大会に医療ボランティアとして参加し、SOに参加したアスリートに視力検査と眼位検査を行った。今回はその結果と、今後の展望について報告する。 対象及び方法:対象は、2009年11月にスペシャルオリンピックス日本・熊本地方大会の健康プログラムに参加したアスリート54名である。方法は屈折検査を行い、裸眼視力と矯正視力をABCD判定で評価し、Cover Testにて眼位検査を実施した。また、問診表にて眼鏡装用や眼科受診の有無、視力検査時の応答手段などを調べた。 結果:ABCD判定において、矯正視力が裸眼視力より1段階以上向上した例が54名中31...

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Bibliographic Details
Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 40; pp. 173 - 177
Main Authors 横峯, 弘隆, 武藤, 興紀, 岩田, 一大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2011
日本視能訓練士協会
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ISSN0387-5172
1883-9215
DOI10.4263/jorthoptic.040F119

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Summary:目的:スペシャルオリンピックス(以下SO)が開催した熊本地方大会に医療ボランティアとして参加し、SOに参加したアスリートに視力検査と眼位検査を行った。今回はその結果と、今後の展望について報告する。 対象及び方法:対象は、2009年11月にスペシャルオリンピックス日本・熊本地方大会の健康プログラムに参加したアスリート54名である。方法は屈折検査を行い、裸眼視力と矯正視力をABCD判定で評価し、Cover Testにて眼位検査を実施した。また、問診表にて眼鏡装用や眼科受診の有無、視力検査時の応答手段などを調べた。 結果:ABCD判定において、矯正視力が裸眼視力より1段階以上向上した例が54名中31名(57.4%)であった。そのうち26名は日常生活において眼鏡を使用していなかった。眼位検査結果では11名(疑い2名含む)に眼位異常がみられた。また、視力検査での応答手段は、ランドルト環の方向を指や言葉で答えた例が50名、ランドルト環のハンドル使用で答えた例が3名、絵視力表を用いても検査不可だった例が1名であった。 考按:アスリートたちが適切な眼鏡を装用することで、より快適な視力が得られることが分かった。また、約20%(疑い含む)に眼位異常がみられ、今後、精密な両眼視機能検査などの必要性も示唆された。今後も継続的にスペシャルオリンピックスの眼科検診プログラムに参加しアスリートたちへの眼科受診の啓発活動を行っていく必要があると思われた。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.040F119