耳鼻咽喉科領域の IgG4 関連疾患
IgG4 関連疾患は21世紀に入って本邦より提唱された新しい疾患概念である. 高 IgG4 血症と IgG4 陽性形質細胞浸潤, 線維化による腫瘤形成, 肥厚性病変が特徴で, しばしば複数臓器に病変が形成される. ミクリッツ病 (Mikulicz's disease) と自己免疫性膵炎は代表的 IgG4 関連疾患であり, 2001年に自己免疫性膵炎, 2004年にミクリッツ病が IgG4 関連疾患として報告された. さらにその後, 他臓器病変 (肺, 肝, 腎, 前立腺, 下垂体, 甲状腺, リンパ節, 大動脈など) も報告され, 本疾患概念の領域は拡大し続けている. しかし, Ig...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 117; no. 12; pp. 1438 - 1447 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.12.2014
日本耳鼻咽喉科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.117.1438 |
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Summary: | IgG4 関連疾患は21世紀に入って本邦より提唱された新しい疾患概念である. 高 IgG4 血症と IgG4 陽性形質細胞浸潤, 線維化による腫瘤形成, 肥厚性病変が特徴で, しばしば複数臓器に病変が形成される. ミクリッツ病 (Mikulicz's disease) と自己免疫性膵炎は代表的 IgG4 関連疾患であり, 2001年に自己免疫性膵炎, 2004年にミクリッツ病が IgG4 関連疾患として報告された. さらにその後, 他臓器病変 (肺, 肝, 腎, 前立腺, 下垂体, 甲状腺, リンパ節, 大動脈など) も報告され, 本疾患概念の領域は拡大し続けている. しかし, IgG4 関連疾患の病態や診断・治療に関してはまだ不明な点が多い. 代表的な IgG4 関連疾患である IgG4 関連ミクリッツ病に関しては, 診断過程で耳鼻咽喉科医がかかわることが多いため, IgG4 関連疾患での耳鼻咽喉科医の役割は従来に増して大きくなっている. ここでは耳鼻咽喉科領域の IgG4 関連疾患を中心に臓器別診断基準, 包括診断基準, 経過観察上の注意点や治療について解説し, IgG4 関連疾患の最新の知識を整理しておくことを目的とする. さらに, 頭頸部領域で IgG4 関連疾患が強く疑われている疾患である, 1) IgG4 関連慢性鼻副鼻腔炎, 2) 一部の反復性乳様突起炎, 3) リーデル甲状腺炎, IgG4 関連甲状腺炎, 4) IgG4 関連眼窩下神経腫脹, 5) IgG4 関連頸部リンパ節症についても解説する. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.117.1438 |