原発性鼻副鼻腔結核の1例

症例は62歳女性. 左流涙, 左鼻側部腫脹・圧痛を主訴に受診. 鼻腔側壁に肉芽性病変を認め, 画像上鼻腔・前部篩骨洞病変が左鼻骨を破壊し顔面皮下へ進展していた. 生検にて高度の炎症細胞浸潤と乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認め, 病理学的にはサルコイドーシスが疑われた. 経過観察中病変が増大し再生検したところ, PCR で結核菌陰性であったが抗酸菌培養7週で結核菌陽性であり, 原発性鼻副鼻腔結核と診断した. 外来で INH, RFP, EB, PZA を投与後, 鼻腔・外鼻病変とも消失し再燃を認めていない. 難治性, 原因不明の鼻副鼻腔疾患に対しては結核性病変も疑い, 繰り返し生検や鼻粘膜...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 117; no. 12; pp. 1471 - 1476
Main Authors 倉田, 奈都子, 牧野, 奈緒, 髙橋, 正時, 古宇田, 寛子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.12.2014
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.117.1471

Cover

More Information
Summary:症例は62歳女性. 左流涙, 左鼻側部腫脹・圧痛を主訴に受診. 鼻腔側壁に肉芽性病変を認め, 画像上鼻腔・前部篩骨洞病変が左鼻骨を破壊し顔面皮下へ進展していた. 生検にて高度の炎症細胞浸潤と乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認め, 病理学的にはサルコイドーシスが疑われた. 経過観察中病変が増大し再生検したところ, PCR で結核菌陰性であったが抗酸菌培養7週で結核菌陽性であり, 原発性鼻副鼻腔結核と診断した. 外来で INH, RFP, EB, PZA を投与後, 鼻腔・外鼻病変とも消失し再燃を認めていない. 難治性, 原因不明の鼻副鼻腔疾患に対しては結核性病変も疑い, 繰り返し生検や鼻粘膜組織の抗酸菌培養を行う必要があると考えられた.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.117.1471