下咽頭癌化学放射線療法後に化膿性脊椎炎から硬膜外膿瘍を発症した1例

放射線治療後の骨髄炎は放射線晩期合併症として重要であり, 頻度は少ないが椎体に生じた場合は化膿性脊椎炎となり致死的となる. さらに硬膜外膿瘍まで形成した例は, 諸外国をみても非常にまれである. われわれは, 化学放射線療法を行った半年後に潰瘍を伴う下咽頭粘膜壊死から化膿性脊椎炎, 硬膜外膿瘍を発症した症例を経験した. 可動域制限を伴う頸部痛と悪寒を主訴に来院し, 感覚運動障害が出現した段階で可及的に膿瘍ドレナージ, 椎弓切除術を行い改善し得た. 抗菌薬に不応の場合や脊髄圧迫症状がみられる場合には, 早期の観血的治療が重要と考えられた. 照射歴のある患者の可動域制限を伴う頸部痛では, 化膿性脊椎...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 116; no. 12; pp. 1326 - 1331
Main Authors 井上, 準, 中平, 光彦, 盛田, 恵, 南, 和彦, 高城, 文彦, 菅澤, 正, 久場, 潔実, 松村, 聡子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.12.2013
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.116.1326

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Summary:放射線治療後の骨髄炎は放射線晩期合併症として重要であり, 頻度は少ないが椎体に生じた場合は化膿性脊椎炎となり致死的となる. さらに硬膜外膿瘍まで形成した例は, 諸外国をみても非常にまれである. われわれは, 化学放射線療法を行った半年後に潰瘍を伴う下咽頭粘膜壊死から化膿性脊椎炎, 硬膜外膿瘍を発症した症例を経験した. 可動域制限を伴う頸部痛と悪寒を主訴に来院し, 感覚運動障害が出現した段階で可及的に膿瘍ドレナージ, 椎弓切除術を行い改善し得た. 抗菌薬に不応の場合や脊髄圧迫症状がみられる場合には, 早期の観血的治療が重要と考えられた. 照射歴のある患者の可動域制限を伴う頸部痛では, 化膿性脊椎炎, 硬膜外膿瘍の鑑別が必要である.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.116.1326