中耳内視鏡手術の適応

「1. はじめに」1990年代以降, 外切開による多くの外科手術は, 内視鏡による低侵襲なkeyhole surgeryによっておきかえられてきた. ビデオシステムを内視鏡に組み合わせたことで, 術者は内視鏡をのぞき込むという制限から解放され, 多くの術式が可能となった. 広角な視野を持つ内視鏡を自由に移動させ求める術野を得ることができ, さらに対象に近づけて拡大視することで, 顕微鏡では死角となる部位を, 人間の眼の解像度を越える高精細度 (high definition : HD) で明視化が可能となった. さらに, 組織を差別化して表示する画像処理技術の進歩により, 正常組織と病変との区...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 120; no. 10; pp. 1264 - 1265
Main Author 欠畑, 誠治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.10.2017
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.120.1264

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Summary:「1. はじめに」1990年代以降, 外切開による多くの外科手術は, 内視鏡による低侵襲なkeyhole surgeryによっておきかえられてきた. ビデオシステムを内視鏡に組み合わせたことで, 術者は内視鏡をのぞき込むという制限から解放され, 多くの術式が可能となった. 広角な視野を持つ内視鏡を自由に移動させ求める術野を得ることができ, さらに対象に近づけて拡大視することで, 顕微鏡では死角となる部位を, 人間の眼の解像度を越える高精細度 (high definition : HD) で明視化が可能となった. さらに, 組織を差別化して表示する画像処理技術の進歩により, 正常組織と病変との区別が可能となってきている. 経外耳道的内視鏡下耳科手術 (TEES) は, ほとんどすべての手術操作を外耳道から行うkeyhole surgeryである. HD画像を得たことで, 外耳道を鼓室およびその末梢への直接的なアクセスルートとして使用するTEESは, 低侵襲でありながら, 明視下で安全・確実に機能改善を達成できる手術となった.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.120.1264