走高跳におけるスピードフロップの類型化に関する運動学的考察

「I 研究のねらい」陸上競技における走高跳は課題達成の仕方に関わる自由度がきわめて高い競技種目である. 課題達成法について「片足で踏切る」という規定しか設けられていないことに加えて, コースを自由に設定できる助走路, 約4mのバー, そして厚い着地マットを備えた競技場面がこの自由度を拡大している(Killing, 1995a, 2004, S. 31-32). このために, 今日の競技会でほぼすべてのトップ選手に用いられている背面跳びにも, その遂行の仕方にはきわめて多くのバリエーションが存在し(Killing, 2004, S. 108-158), それゆえさまざまな身体特性をもつ選手に対し...

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Published in体育学研究 Vol. 54; no. 2; pp. 327 - 342
Main Authors 宮下, 憲, 朝岡, 正雄, 佐野, 淳, 渡辺, 輝也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育学会 2009
日本体育学会
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ISSN0484-6710
1881-7718
DOI10.5432/jjpehss.a540211

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Summary:「I 研究のねらい」陸上競技における走高跳は課題達成の仕方に関わる自由度がきわめて高い競技種目である. 課題達成法について「片足で踏切る」という規定しか設けられていないことに加えて, コースを自由に設定できる助走路, 約4mのバー, そして厚い着地マットを備えた競技場面がこの自由度を拡大している(Killing, 1995a, 2004, S. 31-32). このために, 今日の競技会でほぼすべてのトップ選手に用いられている背面跳びにも, その遂行の仕方にはきわめて多くのバリエーションが存在し(Killing, 2004, S. 108-158), それゆえさまざまな身体特性をもつ選手に対して最高レベルで競技しうる可能性が提供されている(Isolehto et al.,2007). このように多くのバリエーションを内包している背面跳びも, 渡辺(2007)によれば, その経過に「ベリーロールの要素」(Tidow, 1994)注1)がどれだけ取り入れられているのかという基準にしたがって, 「パワーフロップA」, 「パワーフロップB」, 「スピード・パワーフロップ」, そして「スピードフロップ」という4つの技術類型に大別することができる.
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.a540211