高度椎体圧潰および高度不安定性を伴う超高齢者骨粗鬆症性椎体骨折に対して側臥位前屈位でロッド締結し意図的に後弯位固定した4症例についての検討

はじめに:高度に圧潰した骨粗鬆性椎体骨折に対する椎体形成術や後方固定術では,術後矯正損失に伴うインプラント脱転など合併症が問題となる.また,80歳を超える超高齢者に対する骨切り術や前方手術は侵襲が大きく選択しづらい.そこでわれわれは,術後矯正損失を見越して意図的に骨折椎体を潰した後弯位で固定するため,側臥位前屈位でロッド締結する手術を行ってきた.対象と方法:80歳以上高齢者で高度圧潰のため椎体形成が行えず,仰臥位と坐位側面Xp像で25°~30°以上の局所不安定性を認めた4例(全例女性)を対象とした.方法は,オープンでスクリューを挿入した後に創部を仮閉創し,右側臥位に体位変換し許す限り前屈位でロ...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 12; no. 9; pp. 1202 - 1209
Main Authors 樽角, 清志, 上田, 修平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.09.2021
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2021-0021

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Summary:はじめに:高度に圧潰した骨粗鬆性椎体骨折に対する椎体形成術や後方固定術では,術後矯正損失に伴うインプラント脱転など合併症が問題となる.また,80歳を超える超高齢者に対する骨切り術や前方手術は侵襲が大きく選択しづらい.そこでわれわれは,術後矯正損失を見越して意図的に骨折椎体を潰した後弯位で固定するため,側臥位前屈位でロッド締結する手術を行ってきた.対象と方法:80歳以上高齢者で高度圧潰のため椎体形成が行えず,仰臥位と坐位側面Xp像で25°~30°以上の局所不安定性を認めた4例(全例女性)を対象とした.方法は,オープンでスクリューを挿入した後に創部を仮閉創し,右側臥位に体位変換し許す限り前屈位でロッドを締結した.結果:全例で術後6ヶ月時点の腰背部痛VAS:0 mmであり,軽介助で独歩外出していた.術後6ヶ月時点で1例は骨癒合し3例でスクリューのゆるみを認めたが脱転や愁訴の訴えはなかった.結語:意図的に後弯を作成することで矯正損失によって起こる様々な問題を防ぎ良好な短期成績を得ることができた.適応を選べば有用な術式である可能性があると思われた.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2021-0021