腰椎椎間板ヘルニアによる下垂足に対する発症から7日以内の早期手術の有効性の検討

はじめに:腰椎椎間板ヘルニア(LDH)は日常診療で接する機会の多い疾患であるが,その代表的な神経根障害徴候である下垂足に対する早期手術の有効性に関しては,種々の報告があり一定の見解が得られていない.本研究の目的は,LDHによる下垂足に対する7日以内の早期手術の有効性を検討することである.対象と方法:当施設で2017年9月1日から2021年11月31日までの期間に,LDHによる下垂足に対して7日以内の早期手術を実施した15例と,8日以降の後期手術を実施した16例の2群間で,術後のMRC gradeに関する比較検討を実施した.結果:術後6ヶ月時点でTA MMT≧3となった症例は,早期手術群が11例...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 14; no. 6; pp. 973 - 977
Main Authors 桝本, 悠輔, 小林, 裕, 友利, 正樹, 坂井, 顕一郎, 榊, 経平, 鳥越, 一郎, 新井, 嘉容, 小沼, 博明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.06.2023
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2023-0624

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Summary:はじめに:腰椎椎間板ヘルニア(LDH)は日常診療で接する機会の多い疾患であるが,その代表的な神経根障害徴候である下垂足に対する早期手術の有効性に関しては,種々の報告があり一定の見解が得られていない.本研究の目的は,LDHによる下垂足に対する7日以内の早期手術の有効性を検討することである.対象と方法:当施設で2017年9月1日から2021年11月31日までの期間に,LDHによる下垂足に対して7日以内の早期手術を実施した15例と,8日以降の後期手術を実施した16例の2群間で,術後のMRC gradeに関する比較検討を実施した.結果:術後6ヶ月時点でTA MMT≧3となった症例は,早期手術群が11例(73.3%),後期手術群が10例(62.5%)(P=0.704),術後1年時点では,早期手術群が12例(80.0%),後期手術群が12例(75.0%)(P>0.999)と,いずれも両群間に有意な差はみられなかった.術後6ヶ月間でのTA MMT平均改善点数は,早期手術群が2.07,後期手術群が1.56(P=0.317),術後1年間では,早期手術群が2.47,後期手術群が1.88(P=0.107)と,こちらも両群間に有意な差はみられなかった.結語:本研究からは,LDHによる下垂足に対する7日以内の早期手術の有効性は示されなかった.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2023-0624