有機発光ダイオードを用いた細菌に対する光線力学治療

光線力学治療(photodynamic therapy: PDT)は,多剤耐性菌を生じないモダリティとして,多剤耐性菌感染皮膚潰瘍の治療への応用が期待されている.我々は,在宅での感染皮膚潰瘍のPDTに,ポータブルでディスポーザブルな有機発光ダイオード(organic light-emitting diode: OLED)を光源として使用することを目的に研究を行っている.OLEDは,フレキシブルな面発光源であるため,皮膚に貼り付けて広範囲を均一に光照射できる利点がある.しかし,OLEDは従来の比較的大型なPDT光源より発光強度が低いため,照射条件の違いによる効果の差異を評価する必要があった.本稿...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 45; no. 2; pp. 153 - 160
Main Authors 鶴田, 大輔, 下条, 裕, 西村, 隆宏, 寺西, 梨絵, 小澤, 俊幸, 桒田, 健二, 呉屋, 剛, 森井, 克行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 15.07.2024
日本レーザー医学会
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ISSN0288-6200
1881-1639
DOI10.2530/jslsm.jslsm-45_0025

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Summary:光線力学治療(photodynamic therapy: PDT)は,多剤耐性菌を生じないモダリティとして,多剤耐性菌感染皮膚潰瘍の治療への応用が期待されている.我々は,在宅での感染皮膚潰瘍のPDTに,ポータブルでディスポーザブルな有機発光ダイオード(organic light-emitting diode: OLED)を光源として使用することを目的に研究を行っている.OLEDは,フレキシブルな面発光源であるため,皮膚に貼り付けて広範囲を均一に光照射できる利点がある.しかし,OLEDは従来の比較的大型なPDT光源より発光強度が低いため,照射条件の違いによる効果の差異を評価する必要があった.本稿では,低輝度・長時間照射によるPDTの殺菌効果と抗腫瘍効果を従来のPDTと比較して解説する.さらに,照射デバイスの開発動向について議論し,5-アミノレブリン酸を用いたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌と緑膿菌に対するOLEDを用いた低輝度・長時間照射のPDTを紹介する.
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm.jslsm-45_0025