競技力の概念的把握への方法序説

「I 緒言」20世紀後半に生じた各種スポーツ種目の国際的な競技水準の高度化と専門化は, 今日も依然としてスポーツ界の重大な関心事となっている. わが国でも, 平成12年に告示された「スポーツ振興基本計画」の重点課題の一つに「国際競技力の総合的な向上方策」が掲げられたり, 翌年に日本オリンピック委員会が『ゴールドプラン』を上梓し, 「国際競技力向上を実現するための具体的な戦略プラン」を公表したことは, そうした事態への対応が如何に緊急且つ重要な課題であるかを物語っていよう. しかしその一方で, 競技水準の高度化と専門化に通底するばかりか, 向上方策や戦略プランのキーワードになっている「競技力」と...

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Published in体育学研究 Vol. 54; no. 1; pp. 161 - 181
Main Author 内山, 治樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育学会 2009
日本体育学会
Subjects
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ISSN0484-6710
1881-7718
DOI10.5432/jjpehss.a540116

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Summary:「I 緒言」20世紀後半に生じた各種スポーツ種目の国際的な競技水準の高度化と専門化は, 今日も依然としてスポーツ界の重大な関心事となっている. わが国でも, 平成12年に告示された「スポーツ振興基本計画」の重点課題の一つに「国際競技力の総合的な向上方策」が掲げられたり, 翌年に日本オリンピック委員会が『ゴールドプラン』を上梓し, 「国際競技力向上を実現するための具体的な戦略プラン」を公表したことは, そうした事態への対応が如何に緊急且つ重要な課題であるかを物語っていよう. しかしその一方で, 競技水準の高度化と専門化に通底するばかりか, 向上方策や戦略プランのキーワードになっている「競技力」という言葉は, スポーツ界では広く一般に用いられ, 重要な用語として認知されているにもかかわらず, これまで漠然とした曖昧な解釈が許されてきたため, 様々な混乱を引き起こしてしまっていると考えられる.
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.a540116